<永井義男 『吉原同心 富永甚四郎』(角川文庫、2024年)>:兄を病で亡くした甚四郎は目指していた蘭方医を諦め、急遽同心を継ぐことになった。兄と結婚する予定だったお八重を妻とし、勤め先として通うのは吉原の面番所。
吉原、同心、蘭方医と著者の他の小説の流れにある新しいシリーズ。だからどこか既視感のある物語であるが本書は新たな舞台で楽しめる。戯作好きのお八重のキャラクター描写が今後面白そうである。
<永田守弘編 『官能小説用語表現辞典』(ちくま文庫、2006年/初刊2002年加筆訂正)>:斜め読み。性行為はパターン化されている(もしかした知らない行為があるかもしれないが)。その決まり切った行為であるからこそかもしれないが、官能小説家の想像力、妄想力はとてつもなく広がり、その言語感覚には敬服する。しかし、参考としている官能小説の書名を見るとそれだけでストーリーのイマジネーションは頭の中で広がり、そして、オノマトペに記される擬態語・擬声語には思わず笑ってしまう。
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