2022年2月28日月曜日

3回目のワクチン接種、EWI

 27日、3回目のワクチン接種。車で5分ほどのクリニックで実施。日曜日のせいなのか混んでいなく、14:30から15:00の予約であったが、14:30にはほぼ終えることができた。年内に4回目もあるのだろうか。

 翌日、注射を打った左肩は痛むのであるが、あとは副作用などを感じることはない。日本酒を飲みたくなった、昼寝をしたくなった、寝不足のせいなのか少し頭が重い。もしかしたらこれらが副作用なのか、と口に出したら年から年中副作用だらけだと連れ合いに軽く躱された。

 EWIで最初に練習を始めた曲は何度も何度も同じ事を繰り返しているが、バッキングに合わせて演奏して初めてとちらないで-音程=運指を間違えないで-終えることができた。思わずやったーとガッツポーズ。 いろんな曲のバッキングに合わせてEWIを演奏したいし、好きな曲は移調したりしながら運指の図をスコアに貼り付けて準備はしている。いつか録音して自己満足感を味わいたいが、72歳と8ヶ月で始めた初めての管楽器はそんなに簡単なものではあるはずもない。

2022年2月18日金曜日

AKAI EWI SOLO fingerings

 毎日いろいろな形でAKAI EWI SOLO(以下EWI)に関っている。上達スピードがとても遅い練習、いつかは美しく奏でようと思って(妄想して)いる曲の楽譜入手、MuseScoreでの楽譜清書、運指パターンを書き入れるための楽譜作成、運指パターンの検討・確認・決定、等々である。
 下図に運指パターンを整理したものを示している。
 一つは、EWI入門書やwebからDLできるものに若干追加している。それらの多くはEWI 400/500がメインになっているのでSOLO 用にアレンジしている。
 次には、EWIの運指がどのように設定されているのかを知りたくなるのは当然であって、それを知るともっと楽しめる。実際のところ上図の運指には入門テキスには示されていないものも含んでいる。下に示したものはエクセルで作成したものを図にしており、エクセル版ではキーのピッチチェンジを計算して音を数字で確認できるようにしている。音楽のごく初歩的な基本を勉強することにもなって面白い。
 図を作成するに当たっては“https://bretpimentel.com/flexible-ewi-fingerings/”と“https://fingering.bretpimentel.com/”を参考とした。

 EWIでMy Wayを演奏しているものがYouTubeにあって魅入られた。それをいつかは吹きたいと思ってスコアを探したが無料で入手できるものは物足りない。キーも一定していない。いくつかを参考にしてF調のスコアを作成し、そこに運指を貼り付けた。練習すれば運指は変わるかもしれないが、まずは記念的な意味も込めてここに乗せておく。誰かが利用してくれると嬉しいが、それに価するのだろうか。










2022年2月11日金曜日

ジョージ・クラム、雪、戦後日本の一冊

 ジョージ・クラムが亡くなった。92歳。最初に聴いたのはLPで「夏の夕のための音楽(マクロコスモスⅢ) アンプリファイされた2台のピアノと打楽器のための」、次は年月を経てからCDとなり、クロノス・クァルテットが好きなことで「ブラック・エンジェル」、「魅入られし風景」はジャケットが印象的。CDの「マクロコスモスⅢ」は「幼子たちの古えの声」とカップリングされておりLPと同一演奏。「マクロコスモスⅢ」は深夜によく聴いた-連れ合いがいるところで聴くとこの曲は嫌がられた。

 10日の朝、雪が降っている。窓から見える家々の屋根に薄らと、まだ塗り始めたばかりの白粉のようである。
 「しんしんと雪が降る」の「しんしんと」は好きな表現で、中学生になろうとする頃、奥会津の鉱山社宅の冷たい窓から見える、雪が降る夜の情景を思い出す。電信柱の上にある電球の灯りが下に円錐形の形を作り、雪が静かに降っていた夜の10時頃、人がひとり背を丸めて歩いていた。あの頃の雪は、何かを暖かく包み込んでしまいそうであった。翻って今は海を隔てた地で、茶色の丘陵が人工の雪で固められ、どこか虚しい祭典が創られている。

 <豊下楢彦 『昭和天皇の戦後日本 <憲法・安保体制>にいたる道』(岩波書店、2015年)>:憲法と安保体制が戦後日本の方向性を定めた。敗戦後にマッカーサーをはじめとする米国に向き合って憲法と安保体制の基礎を固めた根源的要因は、一つには昭和天皇が考える天皇自身の存在目的にあり、もう一つはその天皇を日本国民-特に政官-がどう捉えていたのか、ということにある。史料から展開された論理は明快で、モヤモヤしていたものに輪郭が与えられ得心した。
 帯に書かれた、「あとがき」から引用された文章を要約すると、天皇は「皇統」を維持する目的のために一切を従属させた徹底したリアリストであり、象徴天皇と規定された憲法をも逸脱する政治的行為も辞さなかった。その延長線上に現在がある。
 明治憲法から現憲法改正への経緯、第1条と9条制定の意味、天皇が裁かれなかった経緯、マッカーサーの意思、天皇と沖縄-というより本土という解釈、ダレスと安保と日米地位協定、國體が意味するところ、等々頁に線を引き、メモを書き込みながら引き込まれて読んだ。手許に残しておく一冊。

2022年2月6日日曜日

日本酒品評会(?)、長髪化をやめる、西村賢太の死去

 日本酒品評会(?)を実施。お昼時、テーブルの上に4本の日本酒を並べて品評会めいたことを実施。向き合ったのは福島県の酒で次の4本。①ロ万(純米吟醸1回火入れ)、②宮泉(純米)、③会津娘雪がすみ(純米吟醸うすにごり)、④廣戸川(純米吟醸)。
 いつもは大ぶりのぐい飲みで飲むが、この日は久しぶりに品良く一般的な大きさのガラス製盃でもって①~④の順番で味わう。根はいやしいものだから都度口を水ですすぐなどのことはなく、飲むひとときを楽しむものだから、まして利き酒の技量も浅く、表現力もないものだから、以下のコメントは多分正鵠を誤っているかもしれない。まして酔いながらのメモは難しい。
 ① 美味。香りが口の中で広がる。少し甘く感じる。端麗やや甘口。香りよく初恋の淡さといったところか。
 ② 美味。香りはあるが①ロ万よりは広がりを抑え、落ち着いた趣がある。やや辛口で酸度も好みである。
 ③ 微かに舌に抗う舌触りがあり、感じがいい。馴染みあるほんわかさがあり、会津高校付近の雪景色が浮かんできた。いつもながら美味い。
 ④ 平たい、尖がっていない、個性が薄く何にでも従いますというような従順さを感じる。
 続けて飲んでいるために次第に酔いがまわってきて、品評が怪しくなる。続けて番外として一合ほど残っていた新潟/佐渡の壱蔵(純米大吟醸)を空ける。新潟の酒は美味いのであるがどうも魅入られるところがない。この酒も辛口で香りもそこそこだが再度買い求めるという気持ちはない。
 更に仕上げとして飛露喜(特別純米)を飲む。やはり美味い。毎年何度かこの酒を飲めることはこの上なく幸せである。結局のところ、本日も飲み過ぎである。

 散髪に行っても極力切らずに調えるだけにしてもらい、5ヶ月ほど伸ばし続け、何度目かの長髪化を図ったが、伸びるにつれて鏡に映る自分の姿が次第に不潔っぽくなってきて、もしかしたらだらしない恰好でいるとホームレスの様相を帯びてくるのかとの懸念もあり、結局はバッサリと切ってもらった。ヘヤーカット店の床に落ちている自分の髪を眺めたら黒髪の瑞々しさなど全くなく、白髪交りで、風に吹かれて吹きだまりに転がった細い枯れ草のように見えた。

 西村賢太が死んじゃった、54歳。タクシーの中で具合が悪くなったらしい。最近は以前ほどには小説やエッセイのプロモーションを新聞で見ることも少なくなり、私小説の限界もあるのかと想ってもいたがまさか突然に亡くなってしまうとは驚いてしまった。石原慎太郎への追悼文が最後に書いたものとなるのか。
 以前、立て続けに彼の小説を読んだこともあって一抹の寂しさを思う。

2022年2月3日木曜日

雑記

 石原慎太郎が死んだ。彼の足跡をたどる解説がテレビで流れ、何はともあれ戦後の日本をかき回した人であることは間違いなく、このニュースに触れた山口教授はツイートで改めて彼の言動を批判している。死に当たってのその発言を疑問視する声や、逆に「いいね」とする人たちもいるとウェブ版のニュースに載っている。「天声人語」でも触れられており、現在の政治に関連付けて最後には「「率直」と「乱暴」の違いをわきまえられない、幼稚な政治家が相次いでしまった」と結んでいる。
 武満徹が、大江健三郎に批判されると考え込んでしまうが、石原慎太郎が批判してもなんとも思わない、というようなことを50年以上前に言っていたことを思い出す。武満が言っていたことを正確に記憶しているわけではないが、自分の頭の中ではそう記憶している。また、選挙の時に石原プロの芸能人を背後に立たせ、石原軍団と称していたシーンが思い出される。「軍団」と称する時代錯誤を感じ、また、石原プロ所属の芸能人は本当のところはどう考えていたのであろうかとの疑問があった。

 「率直と乱暴の違いをわきまえられない」と前段に書いた。純粋と単純、無垢と無知のはき違え、感情を思想と同一視する人、従順と追従、論客と饒舌、秩序と差別、平等と画一、・・・・勘違いされていることは沢山ある。

酔っぱらいが世界を変えた

 <ブノワ・フランクバルム 『酔っぱらいが変えた世界史 アレクサンドロス大王からエリツィンまで』(原書房、2021年)>:「ホモ・ノンベラスに遺伝子変異が起き」、エタノールをより早く分解(代謝)されるようになり、ひとは呑兵衛となり、大きな歴史変化に関わってきた。遺伝子変異説は、アメリカで提唱された「酔っぱらいのサル仮説」と呼ばれている「科学史上の最高傑作ともいうべき名称をもつ学説」であると書かれている。人類は大きな進歩を遂げてきているが、「進歩とは、長い歳月にわたる二日酔いのようなものではないか、という考え」から発した論説であるらしい。とするならば、二日酔いはいつか醒めるものであるが、酒飲みはどんなにひどい二日酔いでも苦しみの記憶を消し去り、飲むことを繰り返す。拡大すればアルコール中毒に罹患した「生」という名の病気なのであろう。
 318万年前の化石人骨はルーシー (Lucy) と呼ばれ、その愛らしい名前はビートルズの曲など多くの親しみやすいネーミングとなっている。ルーシーは転落死した可能性があるとある人類学者はいっている。酔っぱらって落ちたのか否かは判らずも、おいしいウォッカ・カクテルに「ルーシー・ラブ」があり、それはルーシーが酔っぱらっていた証拠ではないかと主張するにおいては、面白くて喝采をおくりたくなる。
 日露戦争での旅順攻囲戦は、日本が制したのではなく、「ロシア軍が底なしに酒をくらって戦いに敗れたのだ」とある。そうか、ロシアは前線に多量の酒を供するほどに裕福だったのか、決して日本軍が優れていたのではない。ロシア艦隊が撃沈されたあとには「数百本の酒瓶と4400名のロシア海兵隊員の死体が海峡の海にただよっていた」とのことで、さらに旅順陥落後、日本軍到着時に、ロシア軍は備蓄の食料を焼却するよう兵士に命じたが、兵士たちは拒み飲んでしまった。退却の途についた兵士たちは酔っぱらい、銃は失くしてしまうは卑猥な歌を歌うは、酔って倒れ、あげくは日本軍にいとも簡単に銃剣で刺された。参謀たちはシベリア鉄道の中でシャンパンを飲み気勢をあげて逃亡した。このエピソードで歴史を振り返ってみると、なまじっか日本軍は大国との戦で勝利を得、結果的に己の能力を過信し、錯誤と妄信に酔ってしまい、ためにのちのノモンハンなどをはじめとしてアジア太平洋戦争で悲惨な結果に繋がった。