2016年4月11日月曜日

ふりかえれば70年代初期

 テレビの画面にはビジネスマンの人たちが並んでいて、同時に高田渡の「値上げ」が流れた。一瞬、消費税増税でふらふらしている今の政府を揶揄しているのかと思ったが、そんなことはないと思い直し眺め続けたらガリガリ君の値上げのCMであった。40年以上前の、政府を皮肉たっぷりに揶揄したこの曲を知っているだけに懐かしさと共に、思わず上手い(!)と思った次第。
 自分のライブラリーにあるこの曲を鳴らしてみた。そのうち保有している「タカダワタル的」を久しぶりに眺めてみようか。

 あることを調べていて高校時代の日記を段ボールから出したとき、ついつい昔の手紙を引っ張り出してみた。1972年から75年1月の長男誕生目までの間、結婚前後にニョーボー殿とやりとりした手紙である。合計して40通以上はある。棄てるのはいつでもできるのだからと40年以上とっておいたものである。拾い読みしたらなんとまあ、今では恥ずかしくて口にも出せないような言葉もあった。その言葉を使ってニョーボー殿をからかったら、そんなものひょんなことで子どもたちに見られたらイヤだ、処分する、と言う。それで、今日、彼女の書いたものは彼女に渡した。もちろんオレだって見られるのはイヤだから明日にでもシュレッダーにかけてしまおう。この年齢になればいつなんどき倒れてしまうことになるかもしれないのだから。
 手紙の差し出しには”郵便番号930 富山市東石金の1 不二越男子第一寮1204”とある。2年半住んだ寮は1棟2階の4番目の部屋だった。隣は高梨さんだった。
 手紙の中身を取り出してちらちらと見ていたら、中から写真が3枚出てきた。職場で自分のドラフターと机をバックにして撮った25歳の自分がいて、独身寮自室での2枚は24歳のときで、内1枚には随分前に連絡が途絶えた2年先輩も写っている。懐かしい。そのとき勤めていた職場での写真は後にも先にもこの1枚しかなく、42年ぶりに見て特別な感情が湧いてくる。急遽設計変更を要求されて一人夜遅くまでこの席で図面をひいていたら、部長が飲みながらやったらと日本酒を持ってきてくれたこと。このドラフターで描いていたエンジンクランクシャフト油穴加工専用機の設計構想図を見た先輩が、センスのいい設計をすると褒めてくれたこと。煙草で図面の端を焦がしてしまったこと、尊敬していた先輩が上司と激しくやりあったこと、などなどがつい数年前のことのように思い出される。あの頃の自分に吸い込まれる。