2022年3月5日土曜日

現代百人一首

 毎年恒例の東洋大学「現代学生百人一首」。第35回目の今年の入選作をセレクトし、メモを付した下書きをアップし忘れていた。

     着信で半トーンほど上がる声いつから母と同じになった?
 電話に出ると、連れ合いの声はいつもと違って優しく柔らかくなる。いつからだろう、娘も同じようになっていた。反面、オレは電話に出ると何でそんなにぶっきらぼうで不機嫌そうになるのかと会社の同僚にも家族にも言われ続けた。

     顔加工男に変身してみたら「パパにそっくり!」ショックな私
 娘が幼稚園生の頃、オレに似て美人で可愛いと彼女に言うと、娘は膨れっ面になって“似てないもん”とそっぽを向いていた。

     三〇〇年時空をこえてバロックを奏でる僕にバッハがコケる
 3ヶ月前に手にしたEWI、奏でる“タイスの瞑想曲”が激しく迷走している。

     蝉の音が読んだページに刻まれて参考書から八月の記憶
 蝉はうるさい、集中できない。焦りを覚え始めた高校3年8月の夕。
 3浪して医学部に進学した友人の年賀状に書かれていた一言、“12月になると今でも気持ちが落ち着かなくなる”。

     わからない君の指し手も感情も誰か教えて恋の五手詰
 “四桂(死刑)の宣告”という言い得て妙な詰将棋もある。詰んでしまった恋がそうならなければいいのだが。逆に追いかけ追いかけて詰んでしまう“壽”と称される詰将棋もある。やはり五手詰めあたりが望ましいヵ。

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