草間彌生さんが亡くなった。テレビや新聞・雑誌を通してあの水玉模様の絵画は知っている。話題にもなったとは聞かないけれど小説も書いていた。1985年11月4日に『'聖マルクス教会炎上』を読んでいたが、感想も書いていないので内容は全く記憶していない。ネットで拾うと帯に中上健次の言葉として「この「聖マルクス教会炎上」を私は作品と呼んでおとしめくたくない」とある。またGoogleのAIにあらすじを問うて要約すると、「女であることと、芸術家であることのダブルバインドに苦しむ、日本人レズビアンの前衛芸術家が主人公で、人間の性や存在の矛盾、狂気を鋭く抉り出すような、衝撃的でアバンギャルドな描写(ポルノグラフィの要素を含む)が特徴」とある。
<レム、森泉岳士 『ソラリス 上』(早川書房、2025年)><レム、森泉岳士 『ソラリス 下』(早川書房、2025年)>:惑星ソラリスの直接触れることの出来ない知的生命体の海、ソラリス観測ステーションで発生する奇妙な現象。それらをどう受けとめ捉えればよいのか、人間そのもの或いは人間社会の何かに置き換えてみようとする。無論こうだとは言えないのだが現実を暗喩している気がしてならない。そう考えて引き込まれていた。
<増村十七 『進め!白鼻進』(小学館、2026年)>:1933年に売れない漫画家が人生の賭けに出て、時流に乗っかり漫画が大ヒットし、世の中から持て囃される。そして戦争に突入し事前検閲を受けるようになり軍部主導の時勢に迎合し、戦時の体験を漫画にしようとする。戦後になっては戦後の民主主義・平和主義に迎合するようになる。過去の自分の描いた漫画を眺め直し、目を焼土化した情景を窓外に見て放心する。
近藤日出造をはじめ戦前の時流に乗った漫画家は過去への真摯な振り返りはなく自己弁護に徹し、世間も又そういう漫画家を大きく非難することはなかった。
立っている基盤は薄い人生観でしかなく、刹那的な承認欲求と経済的充足感を得ようとすれば自ずとその行動は自己欺瞞と自己弁護でしかなくなる。何もここに登場する白鼻進に限らず、また時代に限らず、あらゆる人間社会に存在する軽薄な、それでいて普遍的な現象としか思えない。
<ハルタ編集部 『ハルタ』132~136(小学館、2026年)>:漫画三昧。この分厚い雑誌は800円台と安価で多様な作家が漫画を描いている。一気に5冊を発注しその重さに少々驚き、いい年をして漫画雑誌を読むのかとの恥じらいを感じるでもない。でもCP比の良さと作家の多様性とこの重さは魅力的で以降定期的に購入してしまいそうである。
全作品に目を通すかというとそういうことはなく、絵柄から想像するストーリー展開に好き嫌いがあり、好みでないものは飛ばす。1冊あたり1~3日かけて頁を進める。しかし、個々の作家の絵の秀逸さには感心する。絵が上手い人、文章が素敵な人、パフォーマンスの良いスポーツマンは羨ましい。それだけに自分にないものに触れることには幸福感を味わえる。表現力の優れた人には深い敬意を表する。
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