2025年10月8日水曜日

小説3冊

 <白川尚史 『ファラオの密室』(宝島社文庫、2025年/初刊2024年加筆修正)>:22nd「このミス大賞」受賞作。舞台は紀元前14世紀のエジプト。主人公セティは死んでミイラにされたが心臓が欠けているために冥界に行く審判を受けられない。現世に戻った彼(最後に明かされるが実は女性)が3日間の猶予を得て欠けた心臓を探す。親友のミイラ職人タレクと、異国の地で拐かされて奴隷となったカリの助けを得て心臓の欠片を探す。先王のミイラが消失する事件に直面し、その密室での謎ときをする。
 冥界(①)と紀元前14世紀の現世(②)と21世紀の現在(③)がホテルのコネクティングルームのように繋がっていて、セティが①と②をまたぎ、タレクが②に生き、異国(トルコ南部)から来てエジプトの神々文化に慣れ親しんでいないカリは②に生きるがその視点は③のようである。
 下半身が木でできているセティが自身の心臓を探すというシーン、神々の欲望と審判、密室から運び出されるミイラ、これらの世界に何の抵抗もなく入って物語を読むことができる。
 密室での謎ときがあり、その謎ときもミイラであるからこそ成立し、カリを騙すエジプト女性がいるし、悪辣な雇い主がいて奴隷のカリへのひどい仕打ちがあるし、寝殿造りの石運びがあるし、冒険もあるし戦もある。カリの内面の葛藤と絶望、そして不幸からの救いがあり、そこは古代エジプトであり、神々も出てくる。
 第2章でカリが唐突に現れて主人公になり、彼女がその後どう絡んでいくのか期待し、親に棄てられたと思っていた聡明な彼女も最後は幸福な生活に戻る。古代エジプトが現代に絡むミステリーではなく、古代エジプトでのミステリーという設定に新鮮さを感じ、冒険あり、不幸から抜け出す柔らかな心地となる展開もあって面白く読めた。
 興味があって数日前に衝動的に『図鑑 アフリカ全史』(東京書籍)を購入し、短い描写ではあるけれど初期文明エジプトの図を眺めたりして想像を広げ楽しんだ。

 <永井義男 『秘剣の名医 十九 幕府検死官』(コスミック・時代文庫、2025年)>:3編が収められている。伊織の「秘剣」が舞う場面はなく、さしずめ事件解決の知恵袋の役割の伊織は今風に言うとプロファイラーといったところ。
 妻お繁の機転が利いた発想や、魅力的な明るいキャラクターを活写する物語が欲しい。これは編集者が企画して永井さんに申し出なければならないことなのかもしれない。でも、この本がつまらないと言うことではなく、一気読みで楽しめる。

 <桐野夏生 『顔に降りかかる雨』(講談社文庫、1996年/初刊1993年)>:「第39回江戸川乱歩賞受賞作。最後のオチがそろそろだと期待して,案の定の真犯人がいて,この典型的パターンは今一つ不満。気に入った言葉:「大事なのは変だと感じる感性と,何故だと考える想像力だ」」、これは1993年時の読後短文。桐野さんの小説は全部で6冊しか読んでいなく、今回は再読。20年ぶりに村野ミロを主人公にした『ダークネス』が出されたことにあり、32年前に読んだときから愛着のあった「大事なのは変だと感じる感性と,何故だと考える想像力だ」にもう一度触れてみよう、そして読んでいなかったミロ長編三部作の残り二作を読んでから最新刊を開いてみようと思った。そのことが今回この小説を再読しようとした切掛。
 32年前、44歳のときは所謂精密機械製品の開発設計チームを束ねていたときで、当然の如くに設計・試作・評価のフェーズを繰り返す中では設計や試作部品の不具合に直面することは多い。それは簡単に言えば試作した製品モデルや部品に対して「変だ、上手くいかない、何かおかしい」と感じることから始まり、そして解決するためには「何故なんだろう、どこに原因があるのだろう」と考えることでもあった。設計者全員に共通することであり、それで、「大事なのは変だと感じる感性と,何故だと考える想像力だ」、それを強化するためにどうすれば良いのか(行動)を個々に考え続けていて欲しい、というようなことをチームに伝えて続けていた。この言葉は自分を取り巻く全てのこと-社会情勢や政治や自分のことなど凡ゆること-にあてはまると思っている。

2025年10月4日土曜日

ラグビー、ぎっくり腰、近所での交通事故

 9月28日大学ラグビー対抗戦は早稲田vs立教。その前に行われた筑波vs慶応戦では筑波が勝利すると思っていたらその通りになった。筑波大は明治・慶応に連勝で、次の早稲田戦が注目されるであろう。
 早稲田の立教戦は78(12T9G)-0と快勝。SO服部・FB矢崎・SH川端・No8松沼を見ることが出来て嬉しかった。その中でも松沼が途中出場しトライも取ったことが尚更に良かった。矢崎にはレベルの違いを再認識し、服部のキックも久しぶりだった。川端はもしかしたら糸瀬からスタメンを奪うかも知れない。服部と野中はダブルSO的な存在。早稲田佐賀から入った山下恵士朗も今後リザーブに名を連ねるであろう。

 ラグビーをテレビ観戦した日の夜、立ったときに突然に腰がピクッとし、初めてぎっくり腰になった。椅子から立ち上がるのも、ベッドからトイレに行くときも激痛に襲われ酷い目にあった。翌日には痛みはあるけれど少しは軽くなったのが幸いであった。

 昨日(10月3日)自宅から歩いて約300mの交差点で大きな交通事故。全国的なニュースとなっていて、見慣れた家や飲食店、消防署がテレビやネットニュースに映し出されていた。場所は、自宅から300mのところで幹線道路に出る最初の信号のあるところで消防署前の交差点。前日もここを渡ってセブン-イレブンに行ってた。

2025年9月18日木曜日

ウォーキングマシン異音改善、アイディ雑貨

 運動不足を少しでも改善しようと昨年9月末に購入した某社ウォーキングマシン、気が向いたときにしか使用してなかったが、暑くなってきた3ヶ月前からマジメに、一日50分間ほど時速5kmで歩いている。びっしょりと汗をかいた後のシャワーor入浴が気持ちよい。
 このマシン、稼働時の異音が気になり放っておけなくなった。最初はモーター付近のカバーの振動が異音を増幅させているのか思い、カバー取り付けネジを少し緩めてみたが効果は僅か。カバー裏にスポンジでも貼ってみようかと思ったが、コストがかかること、また過去のサラリーマン時代の経験からこれも然程の効果はないだろうと予測し、最後はいじりたくなかったが回転部のアライメント調整をやった。モーターから2段構成になっている複列Vベルトとプーリーの全体のアライメントが少しばかりずれている。コストを意識していると思われる板金+ボルト&ナット構造で、その構造は調整自由度が高い、つまりアジャストメントがし難い設計となっている。ベルトのテンションに注意を払って平行度&直角度を調整した。結果、効果は抜群で周期的な異音はほぼ完璧に解消した。少しばかり己惚れて家人に自慢し、その後異音は発生しなくなった。
 マニュアルにはタイミングベルトとの記載があったが、これはタイミングベルトではない。こういった間違いに技術と品質のレベルが疑わしくなる。それと雑な調整には「made in Chine」の劣った製造品質に皮肉っぽく得心してしまう。そういえば前に利用していたフィットネスバイクでは、ベアリングの間違った使用方法のためにベアリングが外れかかり異音が発生し、手を加えてそのベアリング取り付けを修正したことがあった。

 <ミチル 『#こういうの好き。 架空雑貨集』(Gakken、2025年)>:クスッと笑える卓越したアイディが満載。楽しめる。

2025年9月14日日曜日

ゴミ集積場の清掃、EWI追加、ギター

 数十世帯が対象となっているゴミ集積場が数ヶ月前から清掃されていないような状況が時々見受けられるようになっていた。曜日毎に掃除当番が割り振られ、自分が担当になって以降汚さに気付いていて、思い過ごしかも知れないが、それは1年ほど前に新築の家を構えて新たな家族が移転してきた時期と重なっていると感じていた。集積場の汚さが次第に増してきたと思っていたとき、「最近ゴミ集積場がキチンと清掃されていないことがあります。特に月曜日の日に多く見受けられます。当番の方はキチンと清掃して下さるようお願いします」の如き意味の通知が回覧板に挟まれていた。まずはその達筆に感心し、その後やはり清掃されていないことに気付いていた人がいたのだと捉えた。誰かが某かの苦情を役員の方に申し入れたのであろう。そしてその回覧板が回っていった数日後、集積場は綺麗に清掃されていた。清掃当番となっている人が誰なのかは知ろうと思えば容易に知れるので、恐らく清掃をサボっていた人は指摘にヤバイと思ったのかも知れない。
 ゴミ集積の場所を巡っての裁判が全国的なニュースになっているし、提訴して勝利した人はその後もギクシャクとした関係性の中にいるともニュースで流れた。個人的には、自治会やそれに伴うゴミ集積業務関連業務や回覧板配布は基本的に行政が担うものと捉えている。それに学校の行事やらが連絡されている回覧板は殆ど見ることがなく、単に回覧済みを示す三文判を捺印するだけだし、組織だって秩序を求める、法的根拠の希薄な自治会というあり方には大きな疑問を抱いている。

 AKAI EWI SOLOを追加で購入し(てしまっ)た。今回はSpecial Edition White。プログラム28種の設定は従来のBlackとは別個に設定し、それ以外の基本設定は同じで、曲によっては音色の選択、エコーの設定などを2本で別個にすると効率的に切り替えて遊べる。

 EWIの追加購入に伴って、EWIとギター類の置き方を変えた。大きくは床に置いていたスタンドを減らし、EWIも吊り下げるようにし、ギター5本は新たに既存部品と自作&部品購入でハンガーにタンデムで並べている。・・・まるで物置と化している自室。




2025年9月8日月曜日

好きなクラシック作曲家

 9月6日(土)朝日新聞beの「be Ranking」で「好きなクラシックの作曲家は」が掲載されている。1位・2位は当然の如くにモーツァルトとベートーベン。自分の比較的好きな作曲家ではドボルザーク(6位)、ラベル(8位)、ブラームス(13位)、サティ(20位)と続く。この記事にあげられている全作曲家の作品は何かしらは聴いているし、CD(LP)も持っている。
 21位以下ではドビュッシー(21位)、シベリウス(28位)、ブルックナー(40位)で、あれっと思ったのはマーラーが見当たらない、レスピーギもフォーレもディーリアスもベルグもない。武満徹もない。それにアダムスやスティーブライヒ、ナイマンといった所謂現代音楽の作曲家は一人もいない。
 そもそも(という言葉は嫌だが)調査は編集部が代表的なクラシック音楽家46人をあげてその中から5人を選んでもらったとある。で、知りたいのは46人というフィルターをかけているのだからその46人のリストも併記してもらいたいと強く思った。
 そして、作曲家が好きというのと作品が好きということを混在させて「好きな作曲家」と括ってしまっているのではないかという疑問も感じた。好きな作曲家ではあるが、あの作品は好きではないというものもあるのではないか。その場合、その作曲家は好きという判断は政治家/官僚のように「総合的に鑑みて」判断していると云うことになるのであろうか。

 女子世界バレーボールを楽しんだ。惜敗が続いて4位に終わってしまったが、日本は強くなっている。それぞれの選手の凄さをひしひしと感じた。

2025年8月25日月曜日

夏の甲子園、漫画三昧

 夏の甲子園高校野球。歴史に刻まれる二つのことは、一つは沖縄県の高校が夏で初の優勝。もう一つは広陵高校の甲子園2回戦辞退。後者については消えることのない歴史的事件であり、人間は長きにわたって上に立つと組織とその人間は必ず腐る。人が変質するのではなく、人は本質的にそのような宿命めいたものを有している。新陳代謝がなされない組織構造は必ずや土台から腐る。
 決勝戦では沖縄尚学と日大三高の戦いで6-4位の気持ちで沖縄尚学を応援していた。また、日大三高では一塁手倍賞を思い出す。

 <山田英生・編 『戦争と漫画 戦地の物語』(ちくま文庫、2025年)><同 『戦争と漫画 銃後の物語』(同)><同 『戦争と漫画 焦土の記憶』(同)>:夏になると毎年繰り返され報道されるアジア太平洋戦争。「戦争を知っているやつがいるうちは日本は安心だ。戦争を知らない世代がこの国の中核になった時が怖い」と喝破していたのは田中角栄。そして今現実に日本の政治は過去から視点をずらし、安易な底の浅い感情を昂ぶらせている。結局は「歴史は繰り返え」しているのだろう。
 76年間生きてきて、その間に同じようなことを何度見聞きしてきたのであろう。組織化された中にいる人間の惰弱・詭弁・保身等々は嫌と言うほどに体験してきた、そして、落ち着くところはそのような現実に対して自分をどう位置づけるのであろうかという繰り返される自問である。この漫画集にはそれらが凝縮されている。
 中学1年の頃、奥会津の中学校校舎で低空飛行する戦闘機(練習機ヵ)に出くわしたことがある。人生の中で最も近くで戦闘機を見たのはそれが最初で最後だった。今でも強く記憶に残っている。

 <さそうあきら 『絵師ムネチカ③』(双葉社、2025年)>:『神童』と『マエストロ』に続く3作目の3巻目。狂気の世界」、異常な世界、一つのことに執着するある種の落ちこぼれ人間たちの世界。よく分からないが引き込まれて3巻目。Wikipediaに書かれていた「「無垢な存在」と「世界」との出会いを主題とすることが多い」との記述で少し理解できたような気がする。

2025年8月13日水曜日

眠れない、もうひとつのブログをアップ

 夜ベッドに入って眠りについてから5時間-時には4時間-ほど経ってトイレに行く。その後眠れなくなってしまうことが多く、しばらくボーッとしてから2度寝となる。そして睡眠不足気味となって昼寝をする。しないときもあれば2時間近く眠ってしまうこともある。以前は4時間も眠ってしまうこともあったがさすがに最近それはない。
 で、昨日は酔ったせいもあって夜早く眠たくなり21時半前にベッドに入った。結果2時半頃にトイレに立ち、眠れなくなり、しようがないので1時間タブレットでニュースを見てから起きてしまい、4ヶ月近く間が空いていたもう一つのブログ、鉱山関連を中心としたブログをまとめ、先ほどアップロードした。サボリ続けていたそのブログであるが、もう区切りを付けたいと思うのだがなかなか下書きを書く気力がなく、裏腹に多少焦っている。・・・兎にも角にももう一つのそのブログを今朝アップした。そして少し眠くなってきたので眠る。何という不規則な睡眠時間なのであろうか。