2017年1月28日土曜日

現代学生百人一首より

 毎年恒例の東洋大学現代学生百人一首より抜粋。

愛猫に癒しを求め抱きつくと母も同じか私に抱きつく
この情景に父親はいない。オヤジは癒しを求めてスナックにでも行っているのか、多少のチヤホヤを求めて。
夜ご飯じいちゃん作る芋の子を「け」と言われると僕は「く」という
山形県新庄市の高校生。「け」「く」は青森県の短縮語として有名になっているが、秋田市の伯母は食事時に「け」と言っていた。
分からない君の気持ちも数学も参考書にも答えはなくて
我が母校1年の女子が詠む。数学も「君」の気持ちもそのうち分かるさ。・・・オレの頃は男子校だったので「君」にもなれなかった。
旋盤工にじみ出る汗耐えながら極上作品ここに誕生
手に触れるものを作る喜びを知っているなら、いい人生にきっと近づく。
等差ですらもないけれどあなたとわたしは調和数列
そして、哀しみを微分し愛おしさを積分する。
責任の所在をいくら探しても豊洲の地下は空洞のまま
そもそもこのクニに「責任」という言葉はないのである。
くるくるとコーヒーカップに回されて起点を探す高一の夏
自分の基軸はどこにある、回され続けてまだ探している。
君からの通知がないか確かめる10分ごとに重なる指紋
気がつけばスマホの画面開いてるおれはなにかに操作されてる
スマホがなければ「君」にも「社会」にも触れられない世の中になってしまった。かくして紙上の言葉は薄墨となって透かされていく。

0 件のコメント: