2019年12月25日水曜日

読む数学、材料力学

 <瀬山士郎 『読む数学記号』(角川ソフィア文庫、2017年/初刊2013年)>:
 <瀬山士郎 『読む数学 数列の不思議』(角川ソフィア文庫、2014年/初刊2008年)>:
 <瀬山士郎 『読む数学』(角川ソフィア文庫、2014年/初刊2006年)>:
 中学・高校時代、数学は好きだった。微積と数列・級数は特に好きだったので、これら「読む数学」では微積や展開式ではついつい鉛筆を手に取って証明式を確認したりして楽しめた。高校時代、数列・級数はパズルを解くようで面白かったし、群数列を一般式にするときなどは快感を覚えたこともあった。一方、どうも好きになれなかったのは順列・組合せや集合・確率で、数学らしからぬ(?)数学記号に馴染めなかったし、試験に出るといやな思いをしていた。
 テイラー展開やマクローリン展開、指数関数と三角関数の関係などなど、何十年ぶりに公式を追いかけて見るとその美しさにはやはり魅入られる。

 大学時代から、そして就職してからも機械設計時によく使用したテキスト、『材料力学 (標準機械工学講座)』がどうしても欲しくなり、探したら運良くヤフオクで見付け1000円で手に入れることができた。昭和45年(1970年)4月の版(10版)で、おそらく自分が使用していた版の次に出版されたものであろう。予想よりもはるかに程度がよく、このテキストを保有していた人はあまり勉強もせずにいたのであろうか。著者の奥村敦史は平塚らいてうの子(奥村博史長男)であることは学生時代から知っていたし、確か振動学の授業も受講していたと思う。早稲田の「材料力学」は授業による講義はなく、テキストを7分割して、自学習し、口頭試問を迎えられると自覚した時点で面接を申し込み、それを7回繰り返していた。だからこそテキストを何度も開くことになった。一度他の出版社の「材料力学」を購入したことがあったが、内容が薄くてすぐに放ってしまった。逆に言うと、奥村著のこの『材料力学』は基本原則から説いており、内容が濃いと思っていた。テンソルを勉強したのは専らこのテキストであった。
 頁を開くとどの頁にも見覚えがあり、50年前の自分が、そして勤務先での設計計算の情景が脳裏に浮かぶ。この古いテキストを手にしたからといっても、今の生活に役立つこともないが、時間の合間にクイズやパズルを解くような気分でテンソルに触れ、負荷のかかった梁のSFDやBMDを描き、積分や微分の方程式をたてて解いてみたくなる。錆び付き、枯れかかっている頭に僅かに潤滑油と水分を差すことになるかもしれない。

0 件のコメント: