<フリート横田 『横丁の戦後史 東京五輪で消えゆく路地裏の記憶』(中央公論新社、2020年)>:立石・渋谷・浅草・東上野・横須賀・池袋などの飲食に関わる「横丁」に関わる人たちを訪ね、「横丁」の成り立ちと、そこで生き続ける人々の人生を描く。日本人・在日コリア・中国人・ミャンマ-人たち、それぞれの人たちが、敗戦後からいろいろな事情を抱えて横丁を形成するまでの、個々の経緯をルポに基づいてまとめている労作。著者がそこに通い、飲むことは語られ、問題提起もなされるが、飲みに来る人たちの視点が欠けていることは物足りない。
自分のことを書けば、横丁で飲むことはさほどなく、最も通ったのは新宿の所謂ションベン横丁で、本書には出てこない。そこは方々で語られているので改めて探索するほどでもないかもしれない。横丁的雰囲気のあるところで飲みたくなるが、今それを為そうと思えば恐らく近くにホテルを予約して一人で飲み、その日のうちに電車で帰るようなことはしないだろう。あぁ、紫煙と、焼き鳥を焼く煙と、客に阿ることもない主人or おかみさん、忙しく動き回る女性スタッフのいる小さな店で飲みたい、呑みたい。
読んでいて、都築響一さんの大著、『天国は水割りの味がする 東京スナック魅酒乱』(廣済堂出版、2010年)が脳裏に浮かび、同書に登場する、新宿2丁目/タミーを思い出す。もう10年も経ってしまったか。経営していたかの人はご健在か。同席して一緒に楽しんだ目黒学院高校ラグビー部父兄(お母さん)の方、あの頃は低迷して花園への出場もできなかったが、その後は3度ほど出るようになり以前にも増して盛り上がっているかと思う。・・・・今、オレは、人恋しくなっているのだろうか。
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