2021年2月21日日曜日

横須賀ブラジャー、近代史、小説、漫画

 『横丁の戦後史』で初めて知った「横須賀ブラジャー」、試したくなりブランデーとジンジャーエールを買ってくる。いままでの飲酒人生の中でブランデーを口にしたのは20代の半ばが最後であり、以来飲むことはなかった。そもそも嫌いな酒であるために自ら購入したのは今回が初めてのこと。
 これだという作り方も分からないから、両方を適当にグラスに注ぎ、味ももちろん未知であるのでカップのサイズは控えめに中くらいにした-Bカップというところだろうか(?)。ジンジャーエールのせいで甘みがあり、不味くはない。ついつい飲み過ぎるようになるかもしれない。フランスの安いXOブランデーだったので、グレードを上げ、生姜スライスなども加え、分量の比率や炭酸の量も加減すれば楽しめそうである。カップのサイズもヴァリエーションを増やせば、酔眼で妄想に浸れるかも知れない。
 ブランデーとジンジャーエールでブラジャーか、じゃ、パンと紅茶ではパンティーか、などと戯けたことを口にしたら、連れ合いが侮蔑の一瞥を投げてきた。

 <片山杜秀・島薗進 『近代天皇論-「神聖」か、「象徴」か』(集英社新書、2017年)>:深い内容の対談集。自分にとっては異なる視点で復習し、確認したと言った風である。

 <円城塔 『文字渦』(新潮社、2018年)>:12編の短編集。文字、漢字を自由自在に躍らせ、生き物として文字は時空を飛び越える。想像力豊か、壮大な空想、留まることのない妄想か。読めない漢字は沢山出てくるが、それらをいちいち調べていてはキリがないから、ところどころは飛ばし読み。梵語・漢字・ひらがな、英語もヘブライ語も出てくるし、操る知識の広さは巻末の引用・参考文献に表れている。まともについて行くことは難しいが、ページを捲るのが楽しく面白い。「文字閥」という表現、英文に返り点・一ニ点を付ける発想には感動さえ覚える。
 最も小説らしい(?)のは書名でもある「文字渦」、それに引き込まれて頁を進めると異次元の空間に飛び込まされる。購入して暫く放っておいていたが、早く読めば良かった。

 <卯月妙子 『人間仮免中』(イースト・プレス、2012年)>:書店で久しぶりに漫画のコーナーも眺めながらぶらついていたら、この本が目に入った。著者は統合失調症であり、帯に、「生きているだけで最高だ!」、「卯月妙子は、あっちの世界の「現実」を、こっちの世界の言葉で語れる稀有な人だ」、「卯月妙子と彼女のヒーローの、愛と冒険の物語だ」などとあり買った。最近の本かと思ったが2012年の発刊だった。
 小学校5年の時に異常体験がはじまり、中学3年で自殺未遂をし、夫(後に自殺)の会社が倒産し、降りかかる借金を返済するためにホステス、SMストリッパー、スカトロ系AV女優、舞台女優などを転々とし、自殺未遂も繰り返し、精神病院への入退院は7回と重なり、25歳年長の男性と恋仲になる。般若心経を背景に、前夫の戒名を彫った刺青を背にし、恋仲の男性の名と梵語を陰部に彫り、薬の服用を怠って歩道橋から顔を下にして投身自殺を図る。命は取り留めるが右目の視力を失い、顔も激しく変形してしまう。---現れる症状とその闘いの日々を、ユーモラスに描ききる。半端ではない薬の量、外出するときに出てくる病状との凄まじい闘い、「あっちの世界」に圧倒される。
 「こっちの世界」においては相変わらず呆れることが多く、政治的なニュースは茶番を-わが国に限ることなく-毎日見せつけられる。繰り返してニュースを見ることはない。

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