2023年5月16日火曜日

文庫本ミステリーと『絶滅動物物語』、LGBT理解増進法案

 <青崎有吾 『11文字の檻』(創元推理文庫、2022年)>:表題作については、よくぞこういう仕掛けを作るものだと感心するが、あくまでも謎ときだけのパズルめいた小説。全編を通して感じたことは、作り手側の小説を作る楽しさは伝わってきた。読み手側としてはその楽しさの中に埋没できなかった。

 <うすくらふみ 『絶滅動物物語』(創元推理文庫、2022年)><同 『絶滅動物物語 2』(創元推理文庫、2023年)>:新聞の広告で目にとまり2巻目も含めてウェブにて発注。評判がいいためであろう、在庫なしで取り寄せとなっており、送られてくるまで日にちを少々要した。
 肉が美味い、生活の邪魔になる、有害だなどの人間の勝手な欲望と論理で絶滅する動物が多くいる。人種までも住む地から消滅させてしまう。つい最近もその種を絶やした動物がいる。命がたやすくも絶たれることに複雑な思いがする。何故か、それは日常的に食するのだって結局のところは他の命を頂戴しているのだから。でもある人種が滅び絶滅すると言うことはただただ複雑な思いで悲しい。それ以前に差別がある現実が悲しい。
 読み終わったその日、娘の本好きな長女に読むかとLineしたら「よむ!」とすぐに返ってきた。ニキビがちらっと見える中学2年の彼女はこの本を手にしてニコっとしていた。どういう感想を抱くのだろうか。

 LGBT理解増進法案に呆れてしまう。LGBTの人たちへの理解を増進するための法案だというが、法がなければ理解できないのだろうか。差別に苦しんでいる人たち、あるいはLGBTの存在をなんの抵抗もなく認めている人たち、また外国に向かって、パフォーマンス的に、LGBTの理解を促す法を制定するようにしていますってやってる感を出し、そのための手段として言葉を弄んでいるように見える。またその一連の行動はある種の恥の上塗りをしているようにも思える。
 そもそも、LGBTと一括りすることに無意識的な差別感が埋没しているような気もする。
 不当な差別というけれど正当な差別、不当でない差別とは何だろう。自民党保守派と言われている人たちに「性同一性を理由とする”正当”な差別、あるいは“不当でない”差別」とはどういうものなのか例示して欲しい。彼らは法案とか差別とかそんなものは横に措いて、自分たちの集団の存在をアピールしたいだけではないのか。言ってしまえば、LGBT理解増進法案というそのものに素直に首肯できない。

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