2022年6月10日金曜日

梅雨入り、ウスラウメ、『アメリカ紀行』、『ノモレ』

 梅雨入りした。庭の小さな花壇の紫陽花が一輪だけ咲いている。その橫ではウスラウメの赤い小さな実が緑の葉に隠れるように沢山なった。2回に分けて実を採って果実酒を作った。どういう味になるのか楽しみ。果実酒は、今まで失敗も繰り返したので期待を膨らませずに熟すのを待つこととする。

 <千葉雅也 『アメリカ紀行』(文春文庫、2022年/初刊2019年)>:哲学者の著す紀行とはどんなものなのかと思って頁を開いたが、大きく記憶に残ったのは次の2点。一つは日本では非常に稀薄とされる「二人称」の会話、例えば「How are you ? Have a good day. You too!」の日常的多用。空模様を多用する日本人の挨拶、二人称多用のアメリカ人、何となく納得する。大阪での「もうかりまっか? ぼちぼちでんな、あんたはんは?」が二人称に近いか。「ご苦労様、お疲れ様、お先に」は相手に向かっている言葉なのか自分に話しているのか人称が曖昧という感じである。
 もう一つは著者愛飲のバーボン・ウィスキーWOODFORD RESERVE。どのようなウィスキーなのかと買い求めた。近くの“やまや”にはDOUBLE OAKEDしかなかったのでそれを購入。ついでに好きなFour Rosesのちょっと価格が上のスモールバッチも併せて買った。前者は少し甘いまろやかな感覚があり、後者はそれに比べて辛目の刺激的な味わいがある。初めて舌に乗せたWOODFORD RESERVE DOUBLE OAKEDはバーボンという今まで抱いていたイメージの枠外にあり好きなウィスキーとなった。空になったらまた買おう。

 <国分拓 『ノモレ』(新潮文庫、2022年/初刊2018年)>:未知の先住民イゾラドとの接触。本書の主人公は教育を受けたペルー・アマゾンのイネ族ロメウ。彼が接触をするイゾラドは100年前に別れたイネ族の仲間-ノモレ-ではないのか、結論はでないままに現在も交流は続く。
 写真は2枚だけしか載っていないが、ちょっとしたものはウェブで見ることができる。前に読んだ『ヤノマミ』でもそうであったが、交流のない彼らを知ろうとすることにどのような意味があるのだろうかと疑問も感じる。そして多分、いまでも奥地では資源を求めて森の奥に入り込む”文明人”たちによって彼らは生活・生命を失い続けているのだろう。あらゆる側面での欲望が人間を残酷にし、その欲望を満たす者がいれば、欲望と天秤にかけたように生命や生活を失う人たちがいる。
 映像を見たくなり、『イゾラド ~森の果て 未知の人々~』と『ヤノマミ ~奥アマゾン・原初の森に生きる~』のNHK DVDを2点発注。

0 件のコメント: