2022年6月24日金曜日

エアコン、弁理士が書いた弁理士が主人公のミステリー

 エアコンを使い始めた。夕方になって汗ばんできて、さらに蒸してくるとベタベタする感覚が嫌でたまらず、シャワーを浴びて、温度は高めにして静かにエアコンを稼働する。自室に戻ってからも部屋を締め切って明け方までエアコンはほぼ運転しっぱなし。以前は5月初旬でもう運転していたので、それに比べれば随分と時期がずれた。これは天候のせいなのか、否、年齢のせいなのか、両者が合さっているのか。

 <南原詠 『特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来』(宝島社、2022年)>:2022年第20回「このミス大賞」受賞作。主人公は弁理士、VTuberを舞台に特許の侵害をめぐる今までにないミステリー。
 個人的には、かつて企業に採用されるときに特許権譲渡契約を提出した経験があるし-出願した実用新案・特許は10件前後だったか-、知的財産権侵害の他社製品調査も何回かやっていたし、製品開発時には他社への侵害有無調査は必ず実施していた。かなりの時間をかけて調査し苦痛でもあった。他社出願の無効調査も経験しているし、会社内で他社とのクロスライセンスを耳にすることも珍しいことではなかった。だから、ここに描かれる特許をめぐる展開には面白く飛び込めた。しかし、VTuberなる言葉は初めて知ったので、その世界を想像するに時間がかかったし今もその世界を知ったとはいえない。
 3Dスキャナーと点群データ処理、それに特許を絡ませるミステリーは新しいミステリーであり。楽しめたのではあるが、いかんせん登場人物のキャラクターがいかにも安直で、輪郭は明確なのだが中身が透けて見えるオモチャのような設定と描写になっている。名前の売れたタレントをただ賑やかに動かしているという、最近よくある安直なテレビドラマのキャスティングの感じがする。
 作者は東工大院出身の弁理士。親しい友人の一人に同大学出身の弁理士がいる。その友人は本書を読んだらどのような感想を抱くのであろうか。 医者の作家、弁護士の作家、新聞記者の作家、エンジニア出身の作家など専門職に携った(ている)人が作家に名を連ねているが、現役弁理士の作家は初めて知った。

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