2019年11月23日土曜日

続く風邪、10日振りの酒精、早慶戦、小説3冊

 風邪というのか、まだ喉の違和感や咳は続いている。病院で処方された薬もなくなり、龍角散・浅田飴を試すが、龍角散がもっとも効果的。ただし、服用するときに時折白い粉を飛ばしてしまうのが癖になっていていただけない。

 ラグビー観戦時に久しぶりにアルコールを飲む。実にほぼ10日振り。しかし、「うまい!」という感じにならないのは間を空けすぎたせいなのか、体調不良なのか、甲州白ワインだったせいなのか、よくわからない。

 関東大学ラグビー対抗戦。早稲田の敗戦はまったく予想しておらず、当然の如く勝利したが、スッキリしないもたついた内容であり、且つ結果だった(17/3T1G-10/1T1G1PG)。雨だったので、慶明戦のようなスコア(3-40)は難しいとは思ったが、快勝と言うにはほど遠い内容だった。慶応のフェーズを重ねる攻撃には良くディフェンスしていたと思う。雨のせいであろうハンドリング・エラーが気になった。慶応はこれで大学選手権出場は実質的に消滅した。21年振りらしい。1年生が多いので来季以降のチームであろう、栗原ヘッドコーチは終わりかな。
 高校ラグビー/花園の出場校が出そろった。東北では青森山田が初出場でフレッシュ。関東では浦和高校が3回目。埼玉県の決勝が浦和vs川越東と両校進学校であるのが興味深い。早実は決勝で零敗。学院は最近上位に出てこない。地方予選決勝で、石見智翠館と出雲が130-0、佐賀工業と鳥栖工業が209-0。決勝といっても参加校は2校しかないので寂しい限り-参加校が少ないのは両県だけではないが-。花園開幕までJSportsオンデマンドで主な地方予選決勝を観戦するのが楽しみとなる。

 <誉田哲也 『背中の蜘蛛』(双葉社、2019年)>ある雑誌を買いに行き、ついでに久しぶりに書店内をぶらつき衝動買い。
 ネット監視システムでの防諜、平たく言えば国家警察による盗聴監視システム構築のなかで起きた犯罪解明。捩れた捜査と、それに翻弄されながらも警察内部のタレコミをあばき犯人逮捕へと結びつけていく。

 <ベルンハルト・シュリンク 『朗読者』(新潮社クレストブックス、2000年)>:15歳の少年ミヒャエルが経験した初めての恋愛、少年に寄り添い奔放とも思える21歳年長のハンナ。愛を交わし、ベッドで少年は本を朗読する。ハンナは朗読してくれる少年を「坊や」と呼ぶが、突然に失踪してしまう。ミヒャエルがハンナに再会するのは、ハンナがナチ強制収容所の戦犯として法廷に立つ裁判所であった。ハンナが突然に失踪したのは、電車の車掌から昇進になるときであり、ジーメンスに転職してからさらに強制収容所に移ったのも彼女は読み書きができなかったからであった。要は、自分の名をサインする以外の読み書きを求められる立場に押し上げられることを忌避するがためであった。文盲であるが故にハンナは裁判の事前書類を読んで準備するることもできなかった。彼女は頑に文盲であることを隠し続ける。「彼女は裁判で闘っていただけでなく常に闘ってきた」、「何ができるかを見せるためでなく、何ができないかを隠すために」。
 重い量刑を科せられ、刑務所にいるハンナにミヒャエルはカセットテープを介して朗読を続ける。そして彼女はテープに録音されたものと同じ本を対照させながら読み書きを覚え始める。字を読む能力を身につけた彼女はミヒャエルからの手紙を待ち続けるが、ミヒャエルはカセットテープだけを送り続ける。ミヒャエルは、老いた彼女が出所後に住むべきアパートも仕事も準備するも、ハンナは出所直前に自殺してしまう。
 ミヒャエルは結婚するも離婚し、数々の女性と関係を持つも続かない。その後背にはハンナの存在がある。彼女との交わり、匂い、柔らかさ、肌などと対照してしまう。文盲であることのハンナの苦悩と彼女の世界。歴史の中での長い年月。15歳の少年が包み込まれる、二人の柔らかな恋愛。一人称で緻密な内面描写。ハンナが文盲である原因は一切書かれないが、恐らくは貧しさからであろう。想像するしかない彼女の辛苦と、隠すことで辛うじて守れる彼女の自立的生活、朗読してもらうことで得る世界への広がりと、刑務所で開こうとする希望への扉。その彼女の人生に対するミヒャエルの戸惑いと葛藤。・・・一度しかなく、振り返っても取り返すことのできない人生、抗うことのできない社会と個々の営み、これらを含めて運命とでもいうしかないのであろうか。
 映画「愛を読む人」(なんと安易なタイトルか)をかつてテレビで観たときは大きな感動の記憶はなかったが、小説を読んだとき、文章は映像を超え、感動した。終盤のハンナの刑務所内の描写では涙が出てきた。素晴らしい小説。もう一度映画を観てみようと思いDVDを発注した。どのように鑑賞する自分がいるのか、それも興味あることである。

 <クッツェー 『恥辱』(ハヤカワepi文庫、2007年、初刊2000年)>:1999年ブッカー賞。舞台は南アフリカ。「恥辱」は、大学での生徒と関係を持った大学教授が味わっている恥辱であり、彼の最初の妻との間の娘が襲われ妊娠して味わっている(と彼が考えている)恥辱である。
 南アフリカを舞台とする小説は初めて。大学教授が大学を去って娘のところに居を移してからの情景は初めて感じるものであった。町から遠く離れた住居と農園、アフリカ人との微妙な関係、暴力性云々。

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