2020年8月10日月曜日

暑い、ミステリー、戦死の本

 速歩でのウォーキングは8時から9時頃にはスタートし、汗びっしょりとなる1時間ほどの間に約1kgの体重が減る。もちろん水分補給ですぐに元に戻ってしまう。今のところ続けてはいるがいつになったら減量を実感できるのだろうか。

 暑いので午前中のウォーキング以外に外出することは少ない。数日おきにスーパーに行くか、時折酒店に行くぐらいである。日々の繰り返しと新型コロナの感染者数を確認しているとすぐに9月に入りそうである。

 <今野敏 『棲月 隠蔽捜査7』(新潮文庫、2020年/初刊2018年)>:7年ぶりの著者の小説、即ち7年ぶりの「隠蔽捜査』シリーズ。変わらぬ味を出している竜崎署長に伊丹、それに戸高刑事。サイバー攻撃と殺人を絡めたスト-リーで、スピーディーな展開と巧みな構成でほぼ一気読みとなった。

 <楢崎修一郎 『骨が語る兵士の最期 太平洋戦争・戦没者遺骨収集の真実』(筑摩選書、2018年)>:海外での戦没者240万人のうち113万人の遺骨がまだみつかっていない。海歿した遺骨、戦没した地の事情(中国や韓国など)で収集困難な遺骨、これらを除くと収集対象は約60万人となる。因にアメリカは40万人が戦死し、7万2千人が行方不明であるとのこと。
 書名の副題「戦没者遺骨収集の真実」とは、主に収集にあたっての諸事情の真実である。個々の死に至る瞬間の状況は遺骨から推考されるが、多くの戦没者からすればその数は極極僅かである。地に埋もれて放置され、また海に沈んだ戦没者の数は余りにも多すぎる。

 <藤原彰 『餓死(うえじに)した英霊たち』(ちくま学芸文庫、2018年/初刊2001年)>:先の戦争での日本人の戦没者数は一般民間人も含めて310万人。これは世界の中でとんでもなく多い数である。その内訳を記すと、軍人・軍属・準軍属の死者数は230万人、外地での一般邦人死者数30万人、内地での戦死者数は50万人である。何のためにこれだけ多くの人たちが死なねばならなかったのか、考えても簡単に答えが見出せる筈もない。
 そしてガダルカナル島では多くの兵士が餓死している。ここでの餓死は、単に一義的な飢えによって死んだということではなく、飢えによって誘発される栄養失調や、マラリア、下痢、脚気などによる死-広義の餓死-を意味している。ガ島に残った(残された)兵士の約7割が餓死し、ブナ・ギルワでも7割が病死し、白骨街道(もしくは靖国街道)と呼ばれたインパール、戦没者の8割が病死したビルマ戦線やフィリピン。彼ら餓死した兵士は一体何に向き合って戦って死んだのであろう。少なくとも美称した英霊という言葉では括りたくない。
 第1章「餓死の実態」につづけて、第2章「何が大量餓死をもたらしたのか」と餓死の実態を抉り、続けて第3章「日本軍隊の特質」で本質的な問題点を分析する。餓死者のパーセンテージについては反論もあるらしいが(秦郁彦の著書)、それについては深入りしない。数字の問題にすると(南京事件のように)あらぬ方向に向かってしまう。本書をテキストにして「日本軍の本質」から「日本の本質」をどう捉えるかを意識すればいい。

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