2020年8月13日木曜日

暑い、『少年と犬』

 暑い。熱中症注意の呼びかけが流れており、市の広報からのメールもスマホに入ってくる。一昨日の6.2kmウォーキングもいつもよりは2-3分ほど長い時間を要した。昨日はいつもより早い時刻に外に出たが、既に気温は30度を確実に超えていたと思う。無理はするなとの連れ合いの言葉を守ったわけではないが、ショートカットして1km短い5.2kmでやめた。散歩/ウォーキング/ジョギングしている人は一昨日も昨日も一人しか見かけなかった。
 そして今朝、7時少し過ぎに起きたらもう暑い。連続オンしていたエアコンを5時半ころに止めたがまだ室内は冷えていたはずなのに、暑さで目が覚めた。今日のウォーキングは中止。天気予報を見ると9:00から20時頃まで気温30度超でピーク時には35度を超える。

 <馳星周 『少年と犬』(文藝春秋、2020年)>:1996年のデビュー作『不夜城』では「面白い、但しまともな人間が出てこない」とメモし、その翌年の2作目『鎮魂歌』では「ヤクザ、中国大陸の北京と上海、台湾、悪徳刑事.....こういった連中の殺し合い、騙し合い、裏切り、逃亡、追跡、暴力、ホモ、嗜虐性のセックス、金、.....。辟易としてくる」と記し、以降著者の本を手に取ることはなかった。何度も直木賞候補となっていたし、既に地歩を固めている作家なので今回の直木賞受賞には今更ながらという思いも含めて意外だった。そして本作は、過去の-少なくとも過去に読んだ2作の-作風とはガラリと変わっている。いつからこのような小説を描くようになったのは分からないが、本作は犬-名前は多聞-を軸にした温かい優しい連作。
 初出された時期を追うと、まずは最終話の「少年と犬」を描き、そこには東北大震災(2011年)のあった釜石から、2016年の熊本地震をつなげる少年と犬の物語がある。この最終話の5年間に渡る経過を冒頭からの5つの物語に編んでいる。「男と犬」は仙台、「泥坊と犬」で仙台から魚沼への移動、「夫婦と犬」は富山、「娼婦と犬」は滋賀、「老人と犬」は島根、最期に「少年と犬」に繋がる。多聞は賢く、時には異なる名前で呼ばれても都度の飼い主に寄り添い、常にある一定の方向を見つめる。何も語らない犬に、時々わが家にいたヨーキーを思い出しながら読んだ。連作テレビドラマになりそうな予感。
 犬が好きなので小説を楽しんだが、一方では作者の視線の向く方向にはどうも碌でもない人たちが多そうで、「少年」や「老人」を除いて裏道を歩む人が多く登場し、気持ちの中に抵抗感が浮かぶ。そして、小説全体に感動や感涙などの層を表面に敷き詰める軽さを感じがしてしまう。

0 件のコメント: