2020年9月11日金曜日

歴史からしばし離れてエッセイ・マンガ・小説

 <渡辺京二 『万象の訪れ わが思索』(弦書房、2013年)>:古くは著者が30歳であった1960年に書かれたものから最近までの約50年余に渡る短文がテーマ毎に101の章で掲載されている。語彙豊かに描かれている「万象」を自分はどれだけ理解できているのか甚だ疑わしいのであるが、少なくともその思考の深さと瑞々しさは以前と同じく変わらずに感じる。
 渡辺は25歳頃から公職の選挙では投票しておらず、その点だけは自分と共通である。投票場に足を向けない理由も似たようなものではある。これからも行く気はない。
 著者の本を読むときは、その内容に批評的な姿勢は持つことがなく、ひたすら書かれている内容について理解吸収しようと思ってしまう。が、結局は自分の思考の浅さ、表現力の低さを認識してしまう。語彙不足も痛烈に認識する。

 <都留泰作 『竜女戦記 2』(平凡社、2020年)>:まだ序盤、先の展開はまったく読めない。

 <足立紳 『それでも俺は、妻としたい』(新潮社、2019年)>:フィクション部分もかなり入っている「ほぼ実録」の私小説。書名の通り「妻としたい」とヤルことばかり考えている「ヒモ状態」の夫と、ある種の可愛さがありダメ出しをする心の広い豪快な妻との物語。笑って読んだ。但し、最後の「妻と笑う」と「エピローグ」は当たり前のどこにでもある状況になってしまい、トーンダウンしたような内容が面白くない。
 左手に缶チューハイ(多分)を持ち、フンという感じで右斜めに眼をやってベランダに立っている女性、その左にはブラジャーなどの洗濯物がぶら下がっている-この表紙の絵はこの本にとって秀逸である。
 著者とその妻は次のURLに登場している。https://www.bookbang.jp/review/article/595675。

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