2020年9月23日水曜日

テキスト『日本軍兵士』

 テレビをつけると新政権のニュースや解散時期についての推察が流れている。あまり見ないでいる。Webと新聞で十分である。そもそもコメンテータと称される人が映っていると余計に見たくなくなる。
 一泊でもいいからどこかに行きたい、外で飲みたい、しかし踏ん切りがつかない。

 <吉田裕 『日本軍兵士-アジア・太平洋戦争の現実』(中公新書、2017年)>:大きくは3つの問題意識を重視して論じられた新書。それは、戦後の歴史学を問い直し、「兵士の目線」「兵士の立つ位置」から戦場を見ること、「帝国陸軍」の軍事的特質との関連性を明らかにすることである。最も関心を強く持って読んだのは兵士の置かれた状況と「死」である。端的に言ってしまえば、長期消耗戦に戦う経済力も国力もなしに無謀な戦争に突入し、精神論で戦火を交え、戦死あるいは戦病死した。政府・軍部・宮中の戦争終結決意の遅れで余りにも多くの兵士たちが死んでいる。「お国のために戦って死んだ兵士たち」、「戦場に散った兵士たちのおかげ今の日本がある」のような美化した言葉を見聞きすると腹が立つ、と同時に呆れる。
  類似するテキストは何冊か読んでいるけれど、それでもまだ初めて認識させられることは多い。そしていつも思うことだが、日本軍の兵站は極めて劣悪なものでしかなかったということで、これも短期決戦、作戦至上主義、極端な精神主義の裏返しであろう。

0 件のコメント: