2020年4月17日金曜日

新型コロナウイルス、『ファクトフルネス』、『最期の言葉の村へ』

 毎日増える新型コロナウイルス感染者、実態の見えない感染者数と感染経路。いつまで続くのだろうか。もう2ヶ月近くは電車・バスにも乗らず、飲食店にも入らずにいる。
 アベノマスクでこの日本の政治の絶望さと滑稽さを味わい、いったいこの国の政治を動かしているモノは何だろう、日本人特有のものなのかともどかしい気持ちになる。モリカケやサクラ、山口某の事件などなど、一連の隠蔽や忖度などが姿を変えてアベノマスクや給付金の迷走、感染対策の遅れなどに繋がっている気がしてならない。本質的な何かがあるのだろう、きっと。
 消毒・殺菌の補充に微酸性次亜塩素酸水を買ってきた。持参した2リットルのペットボトルに入れてもらい、300円の安さ。

 <ハンス=ロスリング 『ファクトフルネス』(日経BP社、2019年)>:クイズ13問で正解したのは6問であり、やはり思い込みがかなりある。
 若い人たちや、ビジネスの渦中にある人にとって本書は有用なテキストであるが、リタイアした無職の高齢者にとっての本書の位置づけは次のようなものである。すなわち、世の中の政治やニュースで腹を立てたり不愉快になったりするとき、その事由を正しく掴み、疑問点がどこにあるのかを自分でキチンと理解すること、それへの手助けになる。変だと思う感性と、どうしてなんだろうと考える想像力を養うためには本書に書かれているファクトフルネスはとても大切なことである。頭の中をリフレッシュした気分になった。

 <ドン・クリック 『最期の言葉の村へ-消滅危機言語タヤップを話す人々との30年』(原書房、2020年)>:原題は「A Death in the Rainforest How a Language and a Way of Life Came to an End Papua New Guinea.
 世界の中で最も多くの言語を有するパプアニューギニアにおいて、ほかの言語とは関連性を持たないタヤップ語を話すガプンの村。2014年時点で村人は200人あまりでタヤップ語を話すのは45人ほど。そのタヤップ語も各人のバージョンがある。
 著者はその村に30年間関わり続け、延べ3年近くをその村で過ごした。白人が来てパプアニューギニアに文字が作られ、ガプン村では他地域との交流ができると、次第にトク・ピシン語が使われるようになる。キリスト教もその言語が使われる。要は交流の拡がりに伴ってタヤップ語は縮小する。日本における標準語と方言の関係性が頭に浮かぶ。
 ガプンの村はニューギニア奥地の熱帯雨林の中、人里離れた湿地帯で暮らしており、そのようにさせた要因として日本軍が関係している。日本軍がガプンのある地域に出現すると、行政官として入植していたオーストラリア人は姿を消し、当初は日本軍に協力的であった村人であったが、補給路を断たれた日本軍は凶暴になり、村人の恐怖の対象となった。村人は村を捨てて熱帯雨林に逃げ、日本軍は激怒して無人の家を焼き払い、村人は戻ることはなかった。不安の中にあっては理不尽に怒りが高まり、そうすると何をし出すか分からないという日本人のパターンが表出したのであろう。
 言語が消失するのはしようがないことであろう。著者は、「タヤップ語の喪失を嘆くのは、現在の状況においては禿げ頭の人間が櫛を失くすことを嘆くのと似ている」とうまい表現をしている。
 写真や地図を一切載せないのは何か意図があるのだろうか。

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