2020年4月3日金曜日

神頼み、白石一文の新刊

 東京五輪が来年7月23日開催と決定された。組織委会長は「神頼みみたいなところはあるが、そうした気持ちが必ず通じていくと思う」と語った。首相時代に「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国」と発言した人のさすがの言葉である。

 <白石一文 『君がいないと小説は書けない』(新潮社、2020年)>:作者の自伝的小説。ほぼ事実に基づいて小説を構成されているのだろうと思う。文芸春秋はA社と書かれているように出版社名はアルファベット、文学賞もそう(芥川賞はAで直木賞はNのように)、ただ人名は仮名になっていたりイニシャルに置き換えられたりと使い分けられている。
 還暦を迎える作者の「大失敗の人生」と、共に暮らす15歳年下の彼女へのある種の「依存性」が軸となって物語が展開する。(他の小説でもそうであるが)人生における様々な曲面で自他を観察し、論理的に思索・分析をし、作者の思索・哲学が論じられ、それが心地よく読める。
 本作品で25冊目、大好きな作家の1人である。

0 件のコメント: