2021年7月26日月曜日

「秘剣の名医」シリーズ9巻読了

 オリンピックが開催された。好きなスポーツの観戦は好きなのであるが、東京オリンピックが開催されることはもちろん、そもそもオリンピック自体に懐疑的であり興醒めの気分から抜け出ることはない。

 <永井義男 『秘剣の名医 九 蘭方検死医 沢村伊織』(コスミック・時代文庫、2021年)>:八百屋の2階を借りて男と逢引きをしていた16歳の娘が絞殺され、相手の男の正体が分からない。一方、商人風の男が妾の2階で腹上死し、その男が番頭をしていたという店も、本人の名前も出鱈目であった。この二つの事件は互いの関連はないものの、岡っ引きの辰治と伊織が活躍し、それにお喜久の絵が手がかりとなってすべて解決される。助太郎の機転で浪人とその手下もこっぴどくやられて小伝馬町に送られる。
 長屋の大家や住人が活写され、陰間も登場し、厭味のない下ネタを辰治が披露し、写実的春画を描くことを目指すお喜久が活き活きとして魅力的である。

 永井さんの「秘剣の名医」シリーズを今月8日から読み始めて一気に全9巻を読み終えた。次巻がでるまでは、餌を前にお預け状態となっているような気分である。これら9冊の本は時代小説が好きな友人TaHiに進呈した。

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