2016年3月23日水曜日

無題

 喉の痛みと咳がありまたもや風邪を引く。風邪は治すものではなく通過するものとは『風邪の効用』だったか、思えば最近の睡眠時間の不摂生などへの警告かもしれない。

 昨日、リクライニングチェアが音を立てて壊れてしまった。5本足の1本が完全に折れてしまった。10数年使っていたもので何の前触れもなく壊れてしまった。家具屋に行っても展示品は尠く、ネットで検討を重ねて新しいものを発注。また、娘の娘に約束していたものを誤発注してしまい、返品手続きと新規発注で時間を費やしてしまった。ここんところ碌でもないことが多い。

 同じ会社に勤めていた知り合いがすぐ近くにおり、先日久しぶりに立ち話をした。米の消費量が減った、そもそも食べる量が減った、ビールと日本酒の量を激減させて代わりに焼酎・ウィスキーになっている、運動不足だ、標準からかけ離れた体重だ、等々要は60代後半の年齢に相応しい話しとでも言えばよかろう。

 女房殿の用事につき合ってイオンモール浦和美園に行く。リニューアル或いは閉店で多くの店舗が閉じている。ここに来たときにはよく昼食を摂るのだが店は2点に限られている-以前は他の店にも入ったのであるが美味しくないなどの理由で2点に絞られた-、しかしその内の1点である大戸屋が閉店していた。残念だがしようがない、有為転変、季が経てば世の中は変わる。
 時間潰しに本屋に入ることが多く、ついつい何か買わねばならないとの、ある種の義務感めいたものがあり、結局手に何も持たずに店をでることは尠い。そして今日も3冊買ってしまった。ただ、今日は行き当たりばったりではなく、好きな作家の新作、好きな作家の文庫本、前から気に留めていたもの1冊であった。読むよりも買う本が多い傾向は最近ではかろうじて回避できているものの、積ん読状態はなかなか解消できない。

 <西村賢太 『形影相弔・歪んだ忌日』(新潮文庫、2016年)>:表題作2作を含む6短編。「青痣」は秋恵シリーズ、「膣の復讐」は秋恵が出ていってからの女性が眉をひそめるであろうキタナイ小説、「感傷凌轢」は20数年以上も没交渉の母からの手紙を契機に感傷を凌轢し、「跼蹐の門」は中学を出て3ヶ月後の躓きと先行きへの不安・畏れ。表題の前者は芥川賞受賞の経緯と藤澤淸造への思い。後者「歪んだ忌日」は芥川賞を受賞してから急に賑わいをみせた藤澤淸造墓参・掃苔への不快を描く。
 秋恵シリーズは、またもや例のパターンかと思い、手紙を寄せた母への毒づきは部分的に共感を覚え、「歪んだ忌日」は俄仕立ての文学ファンへの不快と歓迎の葛藤が伝わってきて、自分に転化すれば北町と同じ抵抗を試したくなるであろう。