2016年11月10日木曜日

続けざまに映画を観る

 DVDに録画してあった映画を続けて観た。最初は「硫黄島からの手紙」。次に市川崑監督の「野火」。硫黄島や比島で死んだ一般の兵隊は何と戦っていたのだろう。少なくとも米軍と戦っていたのではない。「野火」では延々と飢餓が映し出される。前の戦争の各戦域での餓死者は61%(『敗者の日本史20 ポツダム宣言と軍国日本』)。
 3作目が久しぶりの山中貞雄の「人情紙風船」。名作中の名作であるとの感想は変わらない。この映画が公開された翌1938年に山中は戦病死。
 最後に「一枚のハガキ」。金もなく貧乏な家族の中にあって大竹しのぶだけがこざっぱりとして髪も整えられ歯も白く、いかにも作られた映画という思いを抱いた。燃え落ちた家の焼け跡の中で豊川悦司が大竹しのぶに向かって、一粒の麦を蒔こう、という台詞ではさらに違和感を覚えた。麦を蒔こうではなく、「一粒の麦」と言ったところに感動を呼び込もうとする制作者側の意図を感じた。新藤兼人の作品では「裸の島」が最高であると思っている。
 「人情紙風船」以外のDVDは破棄。

0 件のコメント: