2019年7月14日日曜日

『神道の逆襲』

 <菅野覚明 『神道の逆襲』(講談社現代新書、2001年)>:視座を神道において仏教を、あるいは儒教や朱子学を語るというような内容を想像(期待)していた。が、これは間違いであった。「逆襲」の意味とは、著者のまえがきによれば、「神道に向けて言われているようよう」な、「冷たい理解に対するささやかな異議申し立てを意図して書かれた」ものである。著者は神さまとはこういうものであると捉えており、それが時には牽強付会のように思えてしまう。鉄腕アトムが悪いロボットを破壊するのは「武力による祓えなのではなかったろうか」とか、『ひょっこりひょうたん島』の「ひょうたん島」は『古事記』の「多陀用幣国(ただよへるくに)のイメージを引くものだとするにあたっては、ついていけない。
 神道が詳細に説かれているのだが、それには関心が薄い。神道だけでなく仏教や儒教など、特定の宗教そのものの教義や歴史には深く入らないようにしている。
 帯には、日本人にとって「神さま」とは何だろう、とあるが、ここでいう「神さま」とは日本で生まれた「神さま」のことで、デウス・Godの「神」ではない。

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