2022年12月19日月曜日

高齢の意識、クズとワルの小説

 娘の中学一年の長女(Cちゃん)が右足を剥離骨折してギブスで固定している。娘の時間が都合つかないときはお迎えを依頼され、4回ほど近くの中学校の駐車場に車を運び、少し坑内に足を踏み入れCちゃんを迎える。横に並んで歩くと160cm近くの身長で母親よりも大きくなり、一緒に恋人のように(?)に歩くことが嬉しい。中学校から彼女の自宅までは約500m(我が家から娘の家は100m足らずの距離)なので、僅かな時間のデート&ドライブとなる。
 下校する中学生を眺めていると、また、彼女の兄は来年から大学生になることも併せて、ついつい自分の60年前を振り返っているような気分になってしまう。

 年賀状を作成。ピーク時の1/5ほど枚数は減った。2023年と印刷すると来年に迎える年齢のことを意識し、後期高齢者の域に近づいていることをひしひしと感じる。

 <染井為人 『悪い夏』(角川文庫、2020年/初刊2017年)>:文庫本の帯に書かれているように「クズとワルしか出てこない」。
 舞台は葉県北西部に位置する架空の船岡市、物語の中軸を成すのは生活保護費の受給。
 市役所内の社会福祉事務所に勤務する佐々木守は自己主張できず、指示や依頼に唯唯諾諾と従ってしまう小柄の26歳。ズルしてサボり癖のある先輩の高野洋司、正義感濫れているように見える行動的で有能な同僚宮田有子、彼らの上司であり佐々木を飲みに誘いたがる独身課長の嶺本。彼らが生活保護費受給の決定と不正受給を断ずる側の人間である。
 表向きは通常の医者だが闇医者である石郷の診断書をもとに不正受給を続ける山田吉雄は脱法ドラッグMDMAの売り子でもある。それを仕切るのはヤクザの金本隆也で、彼にくっついている莉華は2歳の子を母親に預けっぱなしにし、22歳の愛美に恩を売って良いように使い回す。愛美は自閉症のようなあるいは発達障害があるような4歳の娘・美空に暴力も振るい、働く気力もなく生活保護を受給している。
 物語の中心にはいないが、ベンツに乗る息子がいるが縁を切っていると嘘をついて不正受給する老婆の矢野もいれば、コミュニケーション能力がなく仕事ができない古川佳澄は夫を交通事故で亡くし小学生の勇太と二人暮らしで万引きをしてしまい、スーパーの店長は衆人の前で罵倒する。
 以上でほぼ登場人物の説明は終えた。これ以上書くと内容をバラしてしまうことになる。何年か経ってからこのメモを見てストーリーを思い出せるか否かそういう気持ちでメモしてみた。 出てくる人物が相互に関連し合い、伏線も周到に用意されていて、久々に一気読みした。面白かった。

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