2016年9月11日日曜日

最近読んだ本・漫画(3)

 <昌原光一 『江戸のたまもの』(小学館、2016年)>
 <昌原光一 『自撰 人情幕ノ内』(小学館、2016年)>:江戸が舞台の人情短編集。昌原さんの江戸漫画は素直にその舞台に入り込め、穏やかな気持になる。
 いい作者の漫画の絵は文章よりも多くを語る。描かれた背景や人物の表情、間をとった静寂な時間に何を感じ、何を思うのかは読み手に委ねられるのであり、優れた漫画は文章で書かれた小説より奥深くて拡がりのある世界を提供してくれるのではないかと思った。
 読んでいて唐突に乙川優三郎『冬の標』のシーンを思い出した。読後のメモを振り返るとその小説には次のように書かれていた。「居間から現れた彼は、ちらりと巻軸を見てから持主に目を移した。どこか昨日とは眼差しが違って涼しげに見えるのは、彼とともに居間を通り抜けてきた風のせいかもしれなかった」。漫画はこのようなシーンを僅か一つのコマに描くことができる。

 <原泰久 『キングダム 四十三』(集英社、2016年)>:黒羊戦。この巻の終わり頃にやっと羌瘣が臨戦する。信が趙国の総大将慶舎を倒しに向かうところでto be continued。

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