2019年1月10日木曜日

ミステリー、コミックス

 9日、手放した55冊の本の査定額は合計5,776円。結構古い本や文庫本、新書も混じっていたのでたいした金額にはならないだろうと漠然と思っていたが、それよりは高額だった。おそらく最も高額で引き取ってくれたのは『体位の文化史』(作品社、2006年)であろう。もちろん値もつかずに廃棄同様になったものもあるはず。次の処分は半年後くらいになるだろうか。

 <小泉喜美子 『弁護側の証人』(集英社文庫、2009年、初刊1963年)>:懐かしい名前を見つけた。小泉喜美子と言えば芋づるのように繋がるのが生島治郎(『黄土の奔流』、「片翼シリーズ」など)、内藤陳(「深夜プラスワン」、トリオ・ザ・パンチ、しゃくれた顎)、そして新宿の酒場で酔って階段を落ちて死んでしまった、ということ。この人のミステリーを読んだのはたった1冊、37年前の『女は帯も謎もとく』を読んだだけで、ノベルズ版だったと思う。随分と昔のことであるし、生島治郎を知らなければこの人の名も知らなかった。
 本書、すっかり騙されてしまった、しかも冒頭から。2018年12月現在第16刷を重ねるこの文庫本の初刊は昭和38年だから文体も古く、会話調も古く、いわゆる昭和のセピア色した、閉じられた空間を舞台にした探偵小説、といった色合いのミステリーである。でも、楽しめるミステリーは50年以上を経ても楽しめる。頁の残りが少なくなってから、冒頭のシーンを読み返し、ああ騙された、それとも読む力がないのかと自分を思い、最後は心地よい読了感に浸った。

 <鯨統一郎 『今宵、バーで謎解きを』(光文社カッパノベルズ、2010年)>:舞台のバーで飲むものは日本酒からワインに変わり、都度ワインとチーズの薀蓄から始まり、昔の(昭和の)思い出話を経て東子さん登場となる。全体を流れるのは諧謔的会話。

 <入江亜季 『北北西に曇と往け 1』(KADOKAWA HARTA COMIX、2017年)><同 『北北西に曇と往け 2』(同、2018年)>:ずっと前から行きたいと思っている国はアイルランドとアイスランド。多分その地を旅行することはないだろうからGoogle Earthと本でイメージを築くしかない。で、このコミックスはアイスランドが舞台と言うことで手を出した。絵が奇麗、女性漫画家の絵は概して馴染めないのであるが、この本は背景の風景描写がそれに勝っている。アイスランドの澄んだ空気と冷たく静謐な情景がいい。出てくる女性は男性漫画家とは違う爽やかな色気がある。
 第1巻は主人公を取り巻く人たちと彼らがアイスランドに至る状況が描かれ、まずはプロローグといったところ。2巻目はレイキャビックを中心とする観光案内。3巻目を予約発注した。

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