2020年1月19日日曜日

アシュケナージ、11年前の優勝、短編集

 アシュケナージが音楽活動から引退とのニュース。最近の写真を見るとやはり老いたという印象が強く、よって自分の年齢をも再確認することになる。
 ラフマニノフ「ピアノ協奏曲2番」「同3番」(プレヴィン指揮LSO)、スクリャービン「ピアノ協奏曲/プロメテウス」(マゼール指揮LPO)のLPは彼の演奏の中で特に愛聴盤である。両方とも1972年の発売とある。

 11年前に早稲田ラグビーが優勝したときの決勝戦DVDを見た。主将は豊田将万で懐かしいメンバーが躍動している。帝京とのこの決勝戦では国立競技場内で友人達と観戦していた。11年前のブログを見直すと当時の情景がよみがえる。

 <伊与原新 『月まで三キロ』(新潮社、2018年)>:自分をみつめ、迷い、心の置き所を求めてさまよい、何かを切っ掛けにして今より先に気持ちを向かわせる。乱暴に言ってしまえばそれが6編全編のテーマ。その何かとは、「月まで三キロ」の標示とタクシーの運転手さんの人生であり、30代終わりとなっている独身女性が「星六花」の雪の結晶が落ちてくるのを一緒に待つ同性愛者の男性の言葉であり、やる気のなくなっている小学生が老人に「アンモナイトの探し方」を教わり、化石になってしまうかも知れない自分を見つけ出そうと一歩を踏み出して石を打つ。「天王寺ハイエイタス」では惣菜屋の次男が零落した叔父の弾くブルース・ギターに魅入らされる。妻を亡くして小学生の娘と二人で暮らし、小さな食堂を営む男性が、定期的に訪れる41歳の女性物理研究者との交流の中で、娘が亡き母親を思う真の気持ちを知る「エイリアンの食堂」。書き置き一つでバラバラになっている家庭から離れて山に登り、火山学研究で石を刻む研究者と学生たちと行動をともにし、母親として妻として娘・息子や義母に接した過去の自分を振り返り、山小屋を営むことで「山を刻む」ように過去を刻みこれからの生き方を築こうとする。6編のなかでもっとも好きなものは「星六花」で、「山を刻む」の主人公の女性には、いままで何もしていなく、そして今明るい先を見つめようとする、その流れに小説としての安直さを感じ、気持ちがフィットしない。
 著者は地球惑星科学を専攻して大学院博士課程を修了した。小説家としてのスタートは推理小説から。だからなのか、小説の構成に何かしら無機的な機械的な作り物を感じてしまう。

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