プラトンもアリストテレスも教えてはくれない進路も君の気持ちも
明治時代ならばまず出て来るのはカントであろうか。
哲学者に頼っても何も教えてはくれない。でも将来の君の夫が哲学者になることを望むなら、君は悪妻への道を突き進めばよい。
化学基礎教えてくれる君の手に働いてほしい分子間力
いっそのこと触れてしまえば? もしかしたら汗が沸騰するかも。
お疲れと手を振ったけど気付かれず静かにしまう私の右腕
振った手をしまうことを知っている君は大丈夫、いつか人を愛し人に愛される。少なくとも感情にまかせて拳を振り上げ、下げることを知らない不遜な輩(例えば政治家)よりは素晴らしい。
軒下は腹を空かせた燕の子早く逃げろよ番いの蜻蛉
今回はこの句が一番好きである。心揺らぐ現実を見ても蜻蛉たる君たちは恋を成就して逃げれば良い。この世は常に選択を強いられる厳しい現実があるのよ。でも、まあ、「命のスペアはありませんヨ 青くなってしりごみなさい にげなさい かくれなさい」と加川良はそう歌っていた。
政府から「不要な外出控えてね」時代が僕に追いついたようだ
この諧謔性はとてもいい。政府を嗤い、自分を見つめよう。
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久しぶりに見た「プレバト」。森口瑤子さんの俳句を読んで森口さんが好きになった。
仏壇の 向日葵も くたばつてゐる (夏井先生の添削後)
思いを寄せていた人も、明るい日々を飾っていた向日葵も呆気なく死んでしまったじゃないか。命って何だ、口惜しいじゃないか、命って奴めくたばってしまえ。
ブティックの 鏡うそつき 落葉蹴る
女心は今もって良く分からないが、この句は女性の奇麗になりたいという気持ちと悔しさがカワイク表現されていると感じる。
電車やバスに乗った女性の多くは同性にチラリと眼を向ける、そして思う、「私は一番ではないけれど、あの人よりは上だわ」と。鏡に映る我が身を見て、俳句の中の女性は「彼女よりは上だわ」と感じなかったのかもしれない。思わず落ち葉を蹴ってしまった-落ち葉にすべらなければ良いが。
・・・妄想も甚だしいか。
謎解きの 頁に蜘蛛は 果ててゐる
謎ときはミステリー、読み終えて暫く経った頁を開くと、謎の真犯人である蜘蛛が追及に逃げ切れず朽ち果てていた-そんな物語が瞬時脳裏に走った。とても好きな句。
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