2021年1月9日土曜日

○○の音楽、高校ラグビー、漫画

 エリック・サティは室内楽曲を作曲するにあたって「家具の音楽」を意図していた。即ち、室内にあってそこでの日常生活の邪魔にならず、意識しなくともすむ音楽である。室内で、例えば本を読んでいるときに聴く音楽は好きな曲ではなく、また嫌いな曲でもなく、読書に没頭すれば流れている音楽を意識しないですむ音楽であり、選曲を間違わなければ「家具の音楽」は空気のように部屋に充満する。
 ウォーキング中にはいつもワイヤレス・イヤホンから音楽を流している。クラシックはさすがに流さず、欧米のポップス、映画音楽やイージー・リスニングなどで日本のポップスや激しいロックは流さない。いまはアイルランドのケルト・ミュージックを流していてこれがとてもよい。眼に入る風景ともフィットする。歩いていてふと思った。こういうとき、「家具の音楽」にたとえれば、ウォーキングのときの音楽は何の音楽と呼べばいいのだろう。語彙不足、感性不足、想像力不足のせいなのだろう言葉が浮かんでこない。

 高校ラグビーは予想通り桐蔭学園の優勝で幕を閉じた。決勝戦で特に記憶に残った選手は桐蔭ではNo.8で主将の佐藤、LO青木、FB矢崎(まだ1年生で将来早稲田に進学することを期待)、京都成章では何と言ってもLO本橋であの体躯は魅力的、どこの大学に進むのだろうか。 
 例年行われている高校日本代表の海外遠征が中止になり、代わりに優秀選手30名が発表された。早稲田に進学する桐蔭/佐藤、國學院栃木/細矢、桐蔭/宮尾が選ばれており、30人の中でSHはこの細矢と宮尾の二人で、来季から早稲田ではSHの競争はますます激しくなる(今でも1~3年生で9人もSHがいる)。

 <小梅けいと 『戦争は女の顔をしていない 1』(KADOKAWA、2020年)>・<小梅けいと 『戦争は女の顔をしていない2』(KADOKAWA、2020年)>:原作はスヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ。第二次世界大戦中の旧ソ連軍の退役女性兵士の実録インタビュー、オーラルヒストリー。本書は旧ソ連において戦争に参加した(せざるを得なかった)女性たちのそれぞれの戦争への加わり方を振り返っている。単にそれだけであって戦争への根源的問いかけのような姿勢は見られない。極論すれば戦争に参加した女性たちの個々の思い出と哀しみの凝縮。(漫画ではない)原著を読めば違った感を抱くかもしれない。
 女性たちが少女っぽく、幼い風貌で描かれることに違和感。それに「女の顔をする戦争」とは何だろう、逆に「男の顔をする戦争」とは何だろう。本書のタイトルから想像すれば、「女」を枠外におく思考が基底にあるような気がする。そこに本書の底の浅さを思ってしまう。

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