2017年2月26日日曜日

酒と焼酎を県別に比較して暇つぶし

 朝日新聞に埼玉県の清酒に関する記事が載っていたので、その記事を確認する意味もあって国税局HP(http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/sake2015/shuzei.htm)で暇つぶしに遊んだ。以下は平成27年度のデータに基づく。

 清酒の製成数量は、兵庫(126,747kl)>京都(71,286kl)>新潟>秋田(17,800kl)と酒どころが続き、わずかの差で埼玉>愛知>福島>広島>山梨>山形(9,173kl)となる。灘の酒、伏見の酒に代表され、且つ大手酒造所がある兵庫・京都だけで全国合計量(444,353kl)の44.6%を占める。想像以上に兵庫・京都で造られる日本酒が多いことに意外な感じがする。埼玉が5位になっているのもまた意外である。ちなみに福島県では7割が会津で造られているらしい(これは統計年表には載っていない)。宮崎・鹿児島・沖縄には×が付いており、これは僅少値であることを示していると思われる。詳細を確認するつもりはないが、統計表の別のセルには0(zero)の表記があることも理由の一つであるし、「黎明」を造っている沖縄の蔵元のHPには「沖縄唯一の蔵元が届ける日本最南端の清酒」との説明もある。よって×はゼロではなく、統計上取り扱うにも尠い値なのであろうと推測した。尚、沖縄の「黎明」は数年前に沖縄で飲んだ。

 清酒の製造免許場数は、新潟(97場)>兵庫>長野>福島>福岡>広島>岐阜>山形>京都(54場)・・・・>秋田(42場)となっており、埼玉県には36場も(!)ある。沖縄には4、宮崎に2、鹿児島が1場。ただし、免許をもっているからといって酒を造っているとは限らない。また、長らく鹿児島では日本酒は造られていないと思っていたが、一昨年あたりから復活し、「薩州正宗」が商品になっている。飲んだことはない。

 酒類全国販売(消費)量における清酒販売量の比率を大きい順に並べると、新潟(13.47%)>石川>長野>山形>秋田>福島>富山>島根>福井(8.98%)。肯ける。長野と福島を除けば日本海側の県が並ぶ。日本海の荒海に向かって酒を飲む、あるいは、裏日本の重い雲の下で鬱々と酒を飲む、とでも言いたくなるような気がしないでもない。

 焼酎に切り替えると、焼酎乙類(単式蒸留焼酎)の製成数量は宮崎(150,139kl)>鹿児島(147,224kl)が頭抜けており、以下大分>福岡>沖縄>熊本(174,96kl)と続き、量はかなり落ちて長崎(3,338kl)>佐賀>愛知(1,188kl)となる。宮崎と鹿児島の両県で全国乙種焼酎製成数量の61.9%である。焼酎はやはり九州である。
 清酒の場合と同様に、酒類全国販売(消費)量における乙種焼酎販売量の比率を並べると、鹿児島(28.25%)>宮崎(20.57%)>大分>熊本>沖縄>福岡>長崎>佐賀(9.25%)となる。清酒の場合と比べると鹿児島・宮崎の焼酎への偏りが良く分かる。

 ついでに会津の酒と鹿児島県の酒造所との関わりに触れておく。
 会津若松での高校1年時の下宿先(当時の住所は北小路町146)に近いところには蔵元が幾つかあった。かつてそこには「会陽」の酒名で知られる松本本店があったらしい。らしいと書くのは下宿していた頃の記憶がないからである。その松本本店の鹿児島との歴史をたどってみる。松本本店→会津松栄酒造(1987年)となる。親会社は鹿児島の薩摩酒造。「会陽」に加えて本醸造の「会津藩」も出すが、1988年からは「会津藩」の銘柄だけとなる。親会社が薩摩酒造関連会社の南九州コカコーラボトリングとなる。そのあと田苑栗源酒造会津工場→田苑酒造会津工場(2003年)となる。そして今、この蔵元はない。
 田苑酒造も薩摩酒造も著名な焼酎を造っており、酒屋に行けば必ずと言っていいほど並んでいる。薩長と深い因縁のある会津、そこの蔵元が薩摩の酒造会社に組み込まれ、薩摩の人間が会津若松で酒造りに励んで「会津藩」を出し、そして消滅した歴史があった。この蔵元があった福島県会津若松市日新町12-41をGoogleマップで検索すると末廣酒造 嘉永蔵が見えるだけである。
 高校1年時の同じクラスの同級生の実家が新横町の酒蔵であったが、その河野合名会社も今はなくなっており、跡形もない。
 松本本店に関しては石原信一『会津地酒紀行』(歴史春秋社、2004年)に依っており、田苑酒造HP、薩摩酒造HPをも参照した。

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