2018年4月22日日曜日

ミステリー3冊

 読書について、ここ数週間ほど書きためていたものを何回か続けて吐き出してゆく。

 <蒼井碧 『オーパーツ 死を招く至宝』(宝島社、2018年)>:2018年『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。オーパーツにはそこそこ関心があるのでそれをミステリーに取上げるとどうなるのかと興味を抱き手に取った。が、趣味に合わない。本格密室トリックなのだが、面白さは感じられなかった。単に好みが違うということなのだろう。

 <原尞 『それまでの明日』(早川書房、2018年)>:14年ぶりの最新作とあるが、自分にとっては12年ぶり。原さんの全小説-渡辺探偵社/沢崎シリーズ-はすべて読んでいて、ストーリーは記憶にないが、沢崎が醸し出す空気を楽しんでいたことは思い出す。その沢崎は50歳を超え、謎の人物からの依頼があったことから物語は始まり、金融業者での強盗に出くわし、そこで知り合った若者と出会う。刑事二人、暴力団、料亭の女将などが絡んで、入り組んだ織物を解きほぐすかのように縺れをほどいていく。400頁を超える長編を楽しめた。特に会話が楽しめた。・・・7文字のタイトルは維持されている。

 <連城三紀彦 『夜よ鼠たちのために』(宝島社文庫、2014年)>:連城三紀彦といえばまずは名作「戻り川心中」、雑誌『幻影城』でのデビュー作「変調二人羽織」、続いて「宵待草夜情」がある。最初に読んだ刊行本は35年前4月初旬の『夜よ鼠たちのために』であったが記憶に残っていなかった。2013年に亡くなった翌年に今回の文庫本が発刊され、4年間手に取ることはなかった。いま改めて読んだが、ストーリーにセピア色の古さを覚えた。それは勿論いまは本格ミステリーをさほどに好まなくなったことも反映されているのだろう。収められている短編にも同じ空気を感じた。
 35年前は読んだ本のタイトルと著者名しかメモしておらず、当時の読後感は判らない。でも、その後20冊近く読んでいるのだから、暫くはこの作者に入れ込んだことは間違いない。

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