2018年4月20日金曜日

タイトルに「エロ」の書籍、有害指定

 「タイトルに「エロ」の書籍、相次ぎ有害指定 研究書も」の記事があって、研究書まで指定するのはやり過ぎとの声もあるらしい。記事の一部は下記(4月17日朝日新聞)

 3月30日に北海道が有害指定したのは「エロマンガ表現史」(太田出版)。同月23日には滋賀県が「全国版あの日のエロ本自販機探訪記」(双葉社)を有害指定した。いずれも青少年健全育成条例に基づき有識者による審議を経て「青少年の健全な育成を阻害するおそれがある」と判断した。18歳未満への販売が禁止され、書店などでの陳列も一般書籍と区別される。
 二つの書籍は、タイトルで「エロ」とうたい、女性の裸体や性的行為が描かれた本の表紙やマンガのコマを引用している。だが「表現史」の主題はマンガにおける乳房や性器の描き方の変遷の研究。「探訪記」はネットの普及により消えゆくエロ本自販機の現在を探るルポルタージュだ。日本雑誌協会は「新たな分野の研究書であり、フィールドワークの労作だ」と、有害指定に疑問符をつける。

 『エロマンガ表現史』(太田出版、2017年)は生活史、社会科学史、出版史、風俗史といっていいものだし、後世の歴史研究にも貴重な書籍だと思う。記事には書かれていないが、米沢嘉博の労作『戦後エロマンガ史』(青林工藝社、2010年)も貴重な資料になると思っている。ちなみにわたしは両方とも所有している。

 国立国会図書館デジタルコレクションでは版権が切れた書物などがフリーにダウンロードでき、酒井潔『エロエロ草紙(談奇群書 第2輯)』(竹酔書房、1930年)は非常に多くのダウンロード数(DL数トップだったかな?)があるとの記事を読んだことがある。この本、昭和5年の世相をうかがうことができて面白い。

 いま、財務省事務次官のセクハラ問題がテレビで繰り返し流されている。次官が発したとされる言葉はイヤラシイ下卑た言葉そのものだが、北海道と滋賀県は有害指定しないのかしら。青少年への、のみならず社会一般への悪影響の度合いは、有害指定された書籍よりも広い意味ではるかに大きいと思うのだが。もちろん揶揄したうえでのこと。

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