2019年9月14日土曜日

2冊の歴史(!)書、雑記

 以下の2冊で「性」を取上げた一通りの読書はすべて読み終え、これで了とする。二ヶ月間弱に渡って本線から外れた軌道を明日からは元に戻すこととする。

 <乃至政彦 『戦国武将と男色 知られざる「武家衆道」の盛衰史』(洋泉社歴史新書、2013年)>:「武士の男色」は、「①戦場から生まれた、②嗜みであった、③多くが男色で出世した」、との通説があるが、本書ではこれらを悉く批判し論破する。そして、戦国時代の武家男色の変遷を明示する。時代背景と共に男色の歴史を知るのは面白い。但し、個々の武士が誰々と交情したなどの史実的エピソードには興味はない。個々人の性行と性交、そして成功はどうでもよいことである。

 <金文学 『愛と欲望の中国四〇〇〇年史』(詳伝社黄金文庫、2010年)>:漢字や熟語を中心にして再読。例えば、「翻曇覆雨」の意味を漢和辞典で確認したり、『論語』の「吾未見好徳如好色者也」に孔子の嘆きを思い、『孟子』の「好色、人之所欲」「食色、性也」に人間の普遍性を感じ、「談虎色変」と「談性色変」を繋げてみたり、である。
 明初期の『雪波小説』にある「妻不如妾,妾不如婢,婢不如妓,妓不如偷,偷得着不如偷不着」から、よく言われる「一盗ニ婢三妾四妓五妻」が解釈された。一般的には「一盗ニ婢三妻」と略されている。
 漢字の遊びも描かれている。私的に言えば、”上で「呂」、下が「中」”という時代もあったが、”上で「品」、下が「串」”は経験がない。
 「張仁封」の笑話は面白いし、新婚初夜を終えた娘が母に語る「突き」の話も下ネタでの笑える話に使える、少々身につまされることではあるが。
 「緊・暖・香・乾・浅」とその反語「寛・寒・臭・湿・深」、また、「大・硬・渾・堅・久」と反語「小・軟・短・尖・彎」は、古から変わらぬ願望と眼前の現実ではある。下ネタの歴史や背景を知ることもまた面白い。

 韓国では疑惑ある側近の法相任用が話題(課題)になり、日本国内でも「タマネギ」なるタイトルを付してテレビなどで多く取上げられている。一方、台風が直撃して千葉県が被害甚大となっているさなかの11日には新内閣改革人事が発表され、こちらも側近が大臣、幹事長代行、政務官などのポストに就いた。日本のテレビではそれらが取上げられず、多くは小泉に関する話題となっている。隣家の芝生の状態はよく見えるのかもしれないが、自家の芝生をはあまり見ようとしないようである。所詮は大衆迎合、マス・プロパガンダ、そしてそれらを後景あるいはBGMとして一つの軌に沿ってしまう報道になっていると思える。
 今日(9/14)の新聞に載っていた投稿、「『側近重用』 負けません -日韓」、皮肉が効いて佳作。

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