2019年10月31日木曜日

志水さんの最新小説

 <志水辰夫 『新蔵唐行き』(双葉社、2019年)>:『疾れ、新蔵』(2016年)の新蔵が、行方不明となった主家の若旦那を捜し求め、アヘン戦争が始まる唐に行く。舞台は主に寧波や杭州湾周辺。長崎からは唐人の父親に会いに行く少女ななえも同行する。実在する紅弊・青弊を彷彿させる黄弊と紫弊が描かれ、その抗争のなかで、黄弊の頭領となったかつての若旦那と新蔵は再会する。ななえを父親に会わせ、アヘン中毒になっていた若旦那をも救う。
 長崎から福江島、杭州と海上に船を走らせ、中国の東シナ海が脳裏に浮かぶ。時折地図で地理を確認しては物語のイメージを膨らませた。
 本作は著者の3年ぶりの出版で、読むのは38作となった。志水さんも齢80を数年前に超え、あとどれくらいの新作を楽しめるのだろう。

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