<米澤穂信 『黒牢城』(角川書店、2021年)>:荒木村重は信長に反旗を翻し有岡城に籠城。黒田官兵衛はその村重によって土牢に幽閉される。物語は官兵衛が幽閉され、村重が有岡城から出奔して官兵衛が救い出されるまでの間で、天正6年(1578年)~天正7年。村重は有岡城内に発する難事件の解決を官兵衛に求める。戦国の世における武将の駆け引き、一向宗やキリスト経の関わりなどを軸に事件の謎を解く。
歴史とミステリー、戦に臨む武士の意欲と心情、村重の妻の人世に向き合う姿勢、などが絡み合い、いままでのミステリーの枠を超え、重厚な文章と深い心理描写も相俟ってどっぷりと嵌まって読まされた。
『このミステリーがすごい! 2022年版』(宝島社)、週刊文春ミステリーベスト10、「ミステリが読みたい! 2022年版」(ハヤカワ)、『2022本格ミステリ・ベスト10』(原書房)、第12回山田風太郎賞(角川書店)、とミステリー界のトップを総嘗めした傑作。
0 件のコメント:
コメントを投稿