2018年6月22日金曜日

ミステリーとビゴー三部作

 膝に痛みを感じるときがある。右足親指に異常を覚える場合がある。一番いいのは必要以上に歩かないこと、膝にはサポーター、足の親指は動きを制限するテーピング。6月に入ってこんな状態で、自分に課していたウォーキングも一切なしとしていて、やっと普通に戻ってきたようである。ま、今月末まではこのままに過ごそう。

 <三上延 『江ノ島西浦写真館』(光文社文庫、2018年)>:舞台は江ノ島、祖母が亡くなり、彼女の営んでいた西浦写真館の遺品整理に繭は善行から足を運ぶ。カメラ好きだった彼女は写真学科に進学するもある出来事が切っ掛けでカメラから離れる。繭の幼馴染みで怪しげな宗教の信者でもある男性が繭の前からいなくなった理由、遺品整理を手伝う医者の息子、写真館を管理している年配の男性等々が絡んで残された写真の謎を解き、過去の事件の真実、再会、それらが短編連作のとして展開する。
 ビブリア古書堂は本にまつわるエピソードが面白く、栞子さんもまま魅力的であり、その延長線上での期待があったが、この本は楽しめなかった。全体的にミステリーをうまく構築してはいるが、無理な作りを感じてしまう。出てくる人物も魅力がない。ジグソーパズルを当てはめては行くが、嵌め方が力任せで、出来上った絵は壁に飾る気はないといった趣。

 <清水勲 『ビゴーが見た日本人』(講談社学術文庫、2001年、初刊1981年)>・<同 『ビゴーが見た明治ニッポン』(同、2006年)>・<同 『ビゴーが見た明治職業事情』(同、2009年)>:明治15(1882)年にフランスから来日し、士族の娘と結婚、新通商条約締結の頃の明治32(1899)年に息子のみを連れて帰国(離婚)。22歳から39歳までの17年間のあいだ、日本人が描かない市井の状況を風刺をまじえて絵に落とし込んだ。sodesuka氏と揶揄する出っ歯の背の低い男を描写する一方で女性には穏やかな視線を送り続けていた(かなりの女好き)。若いけれども視線は鋭くかなり皮肉っぽい。
 絵を眺めれば、基本的には日本人の行動・思考原理は今と変わらない(現代まで変化していない)と思える。明治世相史を知る上で貴重である。

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