2017年9月28日木曜日

小説と漫画

 <佐藤巖太郎 『会津執権の栄誉』(文藝春秋、2017年)>:会津芦名家18代当主盛隆が弑逆され、嫡子亀王丸は3歳で夭折し、天正15年(1587)に20代当主になったのは常陸佐竹家から婿養子として来た義広。天正18年(1590)に伊達政宗が小田原にて死に装束で秀吉に謁見したときを除いて、物語はほぼ猪苗代。蒲生氏郷がまだ会津に入封する前なので、若松の地名はまだ黒川であった。その数年間に於ける芦名家の内紛から滅亡までの物語が編まれている。
 「湖の武将」:富田隆実が猪苗代盛国の裏切りを知り、盛国を討って家臣筆頭金上盛備に報いる決心をする。「報復の仕来り」:佐竹家家老の家臣を玄番が斬り、その惨殺を目撃していた野村が表れる。野村を襲ってきた玄番は野村に短刀で討たれるが、それは須貝を不条理に殺した玄番への復讐であった。「芦名の陣立て」:伊達正宗の家臣が猪苗代城に入り、黒川城にも危機が迫る。芦名・佐竹連合と伊達は対峙し、佐竹と芦名の間もぎくしゃくする。偵察をしていた金上家臣は判断を誤り、嘘をついてしまう。芦名側は富田を第一陣とした陣立てにした。「退路の果ての橋」:橋は日橋川の橋。「会津執権の栄誉」:金上盛備は原で討ち死にする。ここに会津芦名は滅亡する。「正宗の代償」:正宗は小田原に参じて秀吉に謁見する。死に装束と懐刀の場面は緊迫感があって引き込まれる。
 史実に基づいた人名・地名が出てき、時折Googleマップで場所を確認しながら読んた゛。母校会津高校の前進旧制会津中学校歌には、”葦名蒲生の昔より松も緑の色変へず”の一節がある。猪苗代出身の友人にも年に何回か会っている。会津に生まれていないせいか、中学・高校時代は会津に愛着があったわけではない。友人たちの会津に関する知識は豊富で、やっと最近になって彼らの会津への愛着に近づいてきたような気がする。芦名滅亡後、義広は実家である常陸に逃れ、関ケ原の戦い後秋田角館に移っている。角館にはもう何年も訪れていないが、従兄弟が住んでいる。また、伊達が会津に攻め入ったとき、奥会津の中丸城主山之内は抵抗を続けた。この中丸城は現在の金山町横田にあった山城で、オレはこの地の小中学校を卒業し会津高校に進んだ。この年になってやっと自分が暮らした過去に長い歴史を感じている。遅過ぎるヵ。

 <石川雅之 『惑わない星 2』(講談社、2017年)>:物理学に偏ってきている。もうちょっと違う色合いを期待しているのだが、惰性で頁を開いている。
「宇宙は人間に観測されるためにのみ存在している」、含蓄があるなぁ。

 <雨瀬シオリ 『惑わない星 2』(文藝春秋、2017年)>:神高が1回線に勝利した。この漫画かなり倦きてきた。もうここで止めてしまおう。時間が勿体ない。

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