2018年12月11日火曜日

CD、年末恒例ミステリーベスト、新書1冊

 10日、久しぶりに購入したCD3枚が届いた。クラシックのCD2枚と送料無料にするためのもの1枚。最近、クラシックは現代音楽のものを購入するのことが続いていたが、今回はショパンのピアノ曲(バラード/スケルツォ)とモーツァルトのクラリネット協奏曲。モーツァルトのこの協奏曲はこれで何枚目だろうか、CDとLPで20枚くらいになるのだろうか。落胆したのがついでに購入したハーモニカによる映画音楽のCD。曲によっては、ハーモニカがバックのオーケストラやピアノ伴奏に押されていて、ハーモニカの柔らかい包み込むような音が弱くて前面に出てこない。それにアレンジの所為なのか、全体的につまらない演奏で、ハーモニカ演奏もただスコアを丁寧になぞっているだけとしか感じられない。それなりに著名な日本人演奏家だが、安直な演奏で、ロマンティックな曲である筈なのに聴いていると苛立ちも覚える。久々に失敗してしまったCDである。ハーモニカのCDでは28年前に購入したボンフィーリオの1枚が愛聴盤。ヴィラ=ロボスのハーモニカ協奏曲とバッキアーナス・ブラジレイラス第5番は秀逸。
 最近はミステリーを読まないのに、年末の習慣で『このミステリーがすごい!2019』と『週刊文春』を買ってきた。国内・海外の両方でベスト21位以下(「このミス」)やベスト10以下(「文春」)のなかで2018年度に読んでいるものは『それまでの明日』(原尞)1冊のみ。ちなみに30年前の「このミス」初刊1988年版では国内ベスト10で半分の5冊を読んでいる。隔世之感あり。

 <清水唯一朗 『近代日本の官僚』(中公新書、2013年)>:帯には「エリートたちの喜怒哀楽」、「学歴エリートたちの「立身出世」」、「誕生から成長、そして、政治家の輩出へ」とある。
 明治政府誕生後のエリートとなった人たちの知識吸収に対する意欲と熱意には敬服する。欧米に留学した人たちすべてとは言わないが、例えば事例として示される小村寿太郎や鳩山和夫などの努力には驚きを覚える。一方、政府の中枢を担った薩長土肥出身者とお飾りだった皇室・公家たちの組織票を見れば、いかに小数の人たちによって明治初期の政官がドライブされたかが分かる。この日本を新しくしたい、幕府体制を排除したいと真摯に追求する思うひとも勿論いたが、各藩から選ばれた若い人たちは、留学時は出身藩の名誉と期待に応えようとする重圧を感じ、一方では選ばれた者としての誇りを持ち続け、帰国後は身の振り方と出世欲が心身を蓋っていた。明治初期、日本を牽引する人たちは、欧米からの後進性-すなわち無知-を認識し、だからこそあの混乱の時期に多勢を欧米に送り込んだ。今はどうなんだ、自国自賛があまりにもひどくはなかろうか、とふと思う。
 現在に繋がる官僚気質は、総合大学としての東京帝国大学発足時と官僚任用システム(いわゆる文官試験)が発足したあたりからである。東京帝国大学法学部学生の誇りと私学を下に見る姿勢、東大卒官僚と入省後の出世格差はそのころから始まり、いまも連綿と続いている。日本人個々の人たちは優秀である、しかし日本のシステムは低レベルにあると一般的に言われているが、それを形成したのは明治の官僚育成および任用システムが構築されたあたりからであると思う。優秀であるということの意味を問わなければならないが、それは人間の行動パターンの根源を探ることであろう。

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